金融アセスだより(第68回)

前回に続き、金融の基礎についてご紹介します。

貸し渋り・貸し剥がし

中小企業金融円滑化法の最終期限が迫る中、金融機関からの「貸し渋り・貸し剥がし」が懸念されます。中小企業からのリスケジュール(条件変更)の申請は240万件を超え、9割以上の実行率で金融機関は対応してきました。

その多くの受け皿は信金や地銀ですが、深刻な不良債権を抱えることとなれば保身のため不退転の覚悟で挑んでくることでしょう。

政府の出口戦略は金融機関に対し中小企業へ「業種転換・外部専門機関との連携・コンサルティング機能」などの改善支援を最大限するよう求めるとのことですが、とても対応し切れる数ではないと感じます。

信用を勝ち取る

金融委員会では民間および政府系金融機関との懇談を定期的に重ね、貸し渋り・貸し剥がしの実態調査も行っています。そこで痛感するのは、いかに経営改善計画や経営計画に沿って会社の舵が取れる経営者であるかを示し、常に金融機関とのリレーションシップバンキングを活用していくことが、金融機関の高い信用を勝ち取る唯一の方法だということです。

この問題は、協力会社、取引金融機関の動向によって自社の経営環境が悪化することも避けられない難しい事態です。経営者として金融情報を得ることは、今や必須条件です。金融委員会に参加して議論を深め合い、社業に活かしていただくことをお薦めします。

 

(株)アートフレンド  近藤 正人