金融アセスだより(第70回)
前回に続き、金融の基礎「リレバン」についての後編を掲載します。
卵が先か鶏が先か
担保となる資産があれば融資をし、担保のない会社には貸せないとなれば、売上があがって資産が増えたら融資をするということになります。これは、卵から雛がかえり鶏になって初めて餌を与えるようなものです。これでは、過小資本の中小零細企業はその成長が阻害されるどころか、つぶれてしまいます。
リレバンを強化するということは、金融機関本来の役割(=金融の円滑化)を一層強化すること、企業が持っている成長性や社会への影響度、経営者の人となりによって、融資をすべきだということです。つまり、ビジネスマッチングや円滑な事業承継・M&Aなどを促すことで経営コンサルタント的な役割を金融機関が担い、企業の発展のバックアップを積極的に行うことを意味します。
金融機関をパートナーとして
金融機関の担当者に「銀行の役割として、どんなことをしていますか」と問いかければ、「実はリレバンとして、こんなこともしています」と出てくるはずです。銀行の事業ドメインは「金貸し」ではなく、金融の円滑化を図ることで取引先企業の成長をサポートすることだといえます。そして、金融庁からも地銀・信金には指導が出ており、リレバンの強化が求められているのです。
ただし、中小企業が金融機関をただの金貸しとだけ認識しているようでは、金融機関もサポートしてくれません。お互いにWIN‐WINの関係でなくてはリレバンは成り立ちません。日頃から金融機関とのコミュニケーションを重視し、信頼できるパートナーとして一緒に成長できるようにすると良いです。
イスクラアセットプランニング(有) 二村 佐斗史