今に繋がる足跡 50年の歩み
(6)労使見解

対立でなく「仲間」
1975年に発表された「人を生かす経営〜中小企業における労使関係の見解(労使見解)」。「同友会らしさ」を指し示すこの文書が愛知同友会の方針に取り入れられるようになったのは、実は21世紀に入ってからのことです。
同友会ができた1950年から60年代は、労働争議が最も激しかった時代で、全国の中小企業家にとって労働問題は重要課題の1つでした。「労使見解」は実に13年間の討議と各企業の実践によって「あるべき経営姿勢と労使関係」の姿が深められ、1975年3月に中同協の正式文書として発表されました。
しかし、愛知同友会の方針では長年ほとんど出されてきませんでした。この背景として、75年当時代表理事を務めた遠山昌夫氏は「労働を売って賃金をもらうという労使の関係の発想そのものがなかった」と述べており、愛知では当初から労使を対立するものではなく「仲間」的に位置付けて運動が進められたことが見て取れます。結果として、同時に「人の問題」に関する運動の弱さにつながったともいえます。
愛知同友会の方針に「労使見解を基にした経営」が初めて登場したのは2001年、「労使見解をベースにした指針」は2003年。現在では「同友会らしさ」イコール「労使見解の充分な理解と実践」(2012年度県重点方針)と、愛知同友会の根幹に位置付けられています。