第13期共育講座―第5講座(8月31日)
一人ひとりが持つ無限の可能性
江尻 富吉氏 信濃工業(株)

第13期社員と学ぶ共育講座(28社、81名が参加)第5講座、江尻氏の報告を紹介します。
誰もが働ける社風に
我が社は、創業45年、工場のFA化に必要な専用機を製造しています。受注生産のため、単発の仕事がほとんどです。このような専用機メーカーが障害者や高齢者を雇用するのは難しいとされていましたが、同友会で学び、適材適所の明確化で可能性を引き出せると確信し、取り組んできました。現在、知的障害の社員が2名、定年退職後の人が3名働いており、彼らがそのお手本を示しています。
経営指針の根本は「人を育てる、ベクトルをあわせる、方向性を示す羅針盤」です。自社では、社是、基本方針、人事理念とそれに基づいた給与規定を定めています。人事理念は陽明学に基づく感性であり、会社の顔です。時代が変わってもブレない人事理念が必要だと思います。
働くことで幸せになる
「働く」とはどういうことでしょうか。2008年のリーマンショックで、工場内の設備がすべてストップし、助成金をもらい休業の策をとりました。給与は100%支給しましたが、一部の社員は朝から飲酒、夫婦喧嘩、1日中パチンコなど、日に日にボロボロになっていきました。私は、このままでは社員がダメになると気付き、思い切って助成金を打ち切りました。そして社員教育・清掃・営業など、できることを必死で行うと社員は再び活力を持ち始めました。この時、働くとは、人の役に立ち、夢を持ち続けるための媒体であり、会社は、それを実現させる土壌であることを知りました。また、人は苦しみが大きいほど成長も大きいと学びました。
私は、65歳になりましたが、サミュエル・ウルマンの詩、『青春とは』では、人はいくつになっても果敢に挑戦し、理想を描き、情熱を燃やすことで人生老いることなく、いつまでも青春であると歌っています。青春を謳歌し、誰でも働ける土壌で、人を育てながら生涯無限の可能性を拓いていきましょう。