政策研修交流会(8月28日)
条例元年 〜中小企業振興基本条例で輝く地域へ

岡田 知弘氏  京都大学大学院教授

岡田教授からの中小企業への期待と激励に聞き入る参加者

「地域の豊かさ」とは

京都大学の岡田知弘教授をお招きし、第2回目の政策研修交流会を開催しました。

地域とは、本来「人間の生活の領域」と定義し、「地域があってはじめて国や世界があるが、日常ではその逆と錯覚する人が多い」と岡田氏は指摘します。

例えば、大企業や大規模公共事業を誘致しても、利益は本社のある東京など大都市部へ流出し、地域経済へのメリットはごくわずかに留まること、大金をかけて誘致したにも拘わらず、その地域に立地することへの経済的メリットが失われれば、即座に撤退するといったリスクと常に隣合わせとなります。

「地域の豊かさ」は、住民一人ひとりの生活が維持され、向上されることです。そのためには「地域内再投資力」、つまり地域の中小企業をはじめとした各主体の強化が決定的に重要です。事業所数の99%を占め、地域に根付いた中小企業が繰り返し再投資を行うことで、新たな生産や雇用の拡大が可能となり、地域経済は発展します。まさに中小企業は、地域経済を支え、地域住民の生活を守る担い手なのです。

持続可能な地域づくり

住民生活の向上、地域の活性化には、「中小企業振興基本条例」が大きな役割を果たします。千葉県条例のように「企業誘致から、育てる産業、育てる企業へ」と政策方針をシフトしなければなりません。さらに、宣言条例に終わらせず、私たち自身が条例を生かし、具体的な施策展開へ繋げていくこと、首長や行政の担当者が代わっても、自治体の組織的な地域づくりの取り組みを法的裏付けのもとに系統的に展開していくこと、現場発想の政策展開が求められます。

岡田氏は「経済活動は、人間の生活や命を守るものであり、その担い手が中小企業」。「地域の個性をつかみ、行政や仲間と協力しながら次世代も持続できるような社会や地域をつくっていくのが中小企業の役割」と、中小企業への期待と激励を込めて講演を締めくくりました。

報告後、参加者からは多くの質問が寄せられ、改めて条例の意義を学ぶとともに、目前に迫った愛知県での条例制定を見据え、中小企業家としての使命を考える時間になりました。