現代経済の本質を学ぶ基礎講座−第7講(1月7日)
企業統治の発展と新たな課題

瀬川 新一氏  名城大学経営学部経営学科教授

「企業統治論」を講義する瀬川教授

経営の透明性を高める

名城大学との連携企画「現代経済の本質を学ぶ基礎講座」第7講義は、瀬川新一教授を講師に「企業統治論」について学びました。

企業統治論とは、企業経営を客観的に監視することで、役職者の職権乱用や粉飾決算などの不正を防ぎ、公正な経営が行われるようにするための考え方で、欧米で発展してきた仕組みが紹介されました。企業の運営体制を企業内だけでなく、社外に取締役や監査法人などを置き、取締役会は意思決定はするが執行権限は別の執行役員が持つ、株主会が役員選任などへの発言権を持つなどの方法で、企業経営の透明性や執行の適切性を高めています。アメリカではエンロンやワールドコムといった巨大粉飾決算事件を機に、企業統治の仕組みが変革されてきたとのことです。

こうした変革に伴い、経営に対して株主の発言力が強くなっており、日本の企業でも外国資本比率が高まるにつれ、株主からの増配や役員選任の提案が議決されたり、逆に企業側の定款変更などの提案が否決される例が増加していると指摘がありました。

最後にドラッカーの言葉「利潤は費用であるべき」が紹介され、利潤は目先の儲けよりも、事業継続という企業の社会的使命のために再投資されるのが本来の姿ではないかと問題提起されました。