共育委員会 実践学習会(2月26日)
「生きる」「働く」「学ぶ」

植田 健男氏  名古屋大学大学院教育発達科学研究科教授

100名が参加し「人間らしく生きるとは」を学んだ学習会

名古屋大学大学院の植田健男教授を招いての学習会が開催され、100名が参加しました。
植田教授は、次のような問題提起を行いました。

「ヒト」から「人間」へ

今、私たちの身の周りでは、「生きること」「働くこと」「学ぶこと」の3つがバラバラに切り離されてしまっています。「学ぶこと」の意味さえ問わないまま、ただ偏差値の高い大学に入ることだけが目的となり、「生きること」や「働くこと」とは別物の世界の中に入ってしまっている現実があります。

本来、教育とは、生物としての「ヒト」に生まれてきた私たちを「人間」へと成長(自立)させていく、非常にダイナミックな営みなのです。知識の受け渡しだけの「学び」では、決して「人間」としての自立にはつながっていきません。

植田教授

人間らしく生きる

山田洋次監督は映画『学校』の中で夜間中学校を舞台に「学ぶこと」の意味を描いています。働きながら学んでいる彼らにとって、「学ぶこと」は「働くこと」と結びついており、さらにベースには人間らしく「生きること」とつながっています。そうした中で「学ぶこと」が素直に「喜び」として捉えられている姿には、心を打たれました。

地域の中に暮らしがあり、中小企業はその地域を担っています。企業は働く場ですが、そこで「働くこと」は本来、より人間らしく「生きること」と深く結びついており、それは「学ぶこと」を通して深められていくという関係にあります。

どんなに辛いことがあっても、自らを含めて人を人間として尊重し、人間として生き抜いていくことこそが大切なのだと思います。「学ぶこと」は学校の中だけのことではなく、地域や職場、家庭においても問われています。

私たちが今、考えなければならないことは、職場で「働くこと」を原点として、それが人間らしく「生きること」につながっていくような「学び」をつくり出していくことだと思います。私たち一人ひとりが「人間的な自立」を自らの課題として掲げ、共に育ち合っていきましょう。