障害者問題委員会−障害者雇用・就労支援の集い(2月7日)
障がい者に教え、教えられ共に育つ

笠原 尚志氏  (株)中西/代表取締役

今年で6回目を迎えた集いには70名が参加

雇用を理念に掲げて

中西は、地域から回収された資源(ガラスビン、ペットボトル、プラ容器など)を分別する会社で、従業員55名のうち28名(うち22名が重度判定)が知的障がい者です。雇用のきっかけは24年前、地域の福祉団体からの紹介でした。環境の仕事がしたいと、笠原尚志氏が中西に入社したのはその1年後です。以後、創業者である先代社長が、試行錯誤を繰り返し彼らを指導する姿を目の当たりにしてきました。

社長がマンツーマンで手とり足とり丹念に教え、ほんの少しの成長を自分の幸せのように喜び、工夫を重ねるうち、気がつけば彼らは大きく成長しました。「できない子をどう伸ばしていくか。それをみんなでやっていこうや」。社長の教育姿勢が、次第に社風となっていきました。

24年続けられたのは、仕事内容が合ったこと、適材適所の配置、そして、一番の柱は成長を喜び合う社風でした。笠原氏は1つ1つの体験から深く感化され、事業継承の後、中西の経営理念に知的障がいの人たちと共に働く企業づくりを掲げました。

仕事をつくり出す責任

5年前には社員が自発的に委員会を立ち上げ、定着のサポートからレクレーションまで、やりがいのある職場環境づくりを進めています。健康管理、プライベート、親の価値観との違いなど課題も多く、エネルギーも要ります。しかし、彼らと働くことで人間の可能性に確信が持て、関わり合い育ち合う社風が豊かになりました。そして、彼らが中西で働き、自分で稼いだ給料で生活を楽しむことが、自立や地域の発展につながると考えています。

障がい者の雇用拡大を阻む理由に仕事が無いということがあげられますが、笠原氏は「経営者には仕事をつくり出す責任がある」とし、新しい仕事への模索を常に行っています。助成金があるからとか、儲かるかどうかではなく、まずは彼らのできる仕事をつくること、その成長によって生産性を高めていきたいと報告しました。

グループ討論では、「自社の採用計画に障がい者雇用を位置づける」「教育とは、成長を支援することだとわかった」など、報告からの学びを交流しました。