第14期共育講座 第1講座(4月26日)
時代を認識し 社員と共に強い会社をめざす

馬場 愼一郎氏  データライン(株)

課題解決に向けて全社一丸となる大切さが語られる

第14期の「社員と学ぶ共育講座」が25社、71名の参加で行われました。今回は第1講座、馬場愼一郎氏の報告を紹介します。

環境変化と企業変革

当社は、コンピュータ用帳票をベースに、新規分野としてDM等の製造販売をしています。かつては毎年、売上が上昇していましたが、情報処理技術の変化により、10数年前には売上の7割を占めていた商品の市場が急激に縮小し、ピーク時の5%の売上規模になりました。私はこの10年、会社の存続のため新事業立ち上げに必死でした。

新事業を通じた変革には、事業内容決定のための情報収集と、事業そのものの構築の困難が伴います。当時、私は「方向を決めたら、一緒に、走れるだけ走ってくれ。遅れる者の面倒を見ている余裕はないので、付いてこれない人は、周回遅れでもできるだけ走ってほしい」と宣言しましたが、この考え方のせいで、一部の社員を置き去りにする結果となりました。

約60名の社員のうち、事業立ち上げの核となってくれた10数名には、市場を駆け巡り、慣れぬ機械相手に未知の分野に挑戦してくれたことに感謝しています。この人たちとは、その後も方針や考え方の共有がスムーズにいきました。

馬場 愼一郎氏

誰も置き去りにせず

一方、理由はどうあれ、事業変革に直接関われなかった社員との間には温度差が発生し、みんなの力が必要な時に協力が得にくい状態になりました。この経験から、理念や方針の共有には、仕事を通じた体験を共にすることが、有効だと思っています。

事業内容の決定や修正には内外から生の情報が必要で、それは現場社員を通してのみ得られます。日々の雑多な出来事から役立つ情報を抽出するには、社員と経営者が自社の課題と方向性を共にする必要があります。経営者は、どの社員も置き去りにせず、仕事の意義、会社の課題の共有を心がけなくては、いずれ社内に歪みが発生します。

一人ひとりが経営の意義、働くことの意味、なぜこの会社にいるのかを、仕事を通じて考え、それを相互に理解する状態を目指していきます。