第14期役員研修大学 第1講座(5月20日)
同友会運動の歴史と理念

赤石 義博氏(中同協相談役幹事)

同友会運動の歴史を振り返る赤石氏

第14期役員研修大学第1講座は報告者に中同協相談役幹事の赤石義博氏をお招きしました。本講座では最初に、原因と結果の因果関係を歴史から洞察する「歴史を学ぶ視点」について確認し、必然的で望ましい結果を生み出すための“原因づくり”を経営者自らが今から行動に移すことを学びました。

同友会発足への機運

同友会発足以前、官僚統制によって戦後間もなく行われた国の「傾斜生産方式(基幹産業の優先的再建)」、そして同業組合のボス支配下に置かれた中小企業は、資材や資金の不足、さらには徴税の強化によって厳しい状況下にありました。

その中で、「中小企業の正当な努力が正当に評価される社会」を中小企業経営者自身の力でつくっていこうという機運が高まり、1957年に日本中小企業家同友会(現東京同友会)を発足します。戦時下の反省から「言うべき時に、言うべきことを言っていこう」という自主性の下で生まれた同友会は、諸経験を「自主・民主・連帯」の精神に込め、現代まで引き継いできました。

同友会運動の目的

中小企業経営者の自主性によって組織された同友会は、自主性を損なうような特定の関係をつくらず、中小企業経営者すべての声を公正・公平に会活動へ反映していくことを確認してきました。

ボス支配下では中小企業の小さな声が抹殺されてしまった歴史的教訓を踏まえ、中小企業経営者の自主性に基づき民主的な社会を実現しようと考えたからです。そして、話し合いを基調とした近代的な労使関係の確立を目指した同友会は、これまでの中小企業経営における教訓を「労使見解」にまとめました。

現代でも、企業の最も素晴らしい力は従業員の力であり、従業員の生活を保障し高い次元での“志気”に基づいて自発性が発揮される職場をつくることが大切だと、赤石氏はまとめました。