愛知県中小企業研究財団 ― 記念の集い(5月24日)
アジア共生時代を拓く連帯 〜東アジア視察報告会

名城大学の渡辺俊三教授(左端)より問題提起がなされる

ASEANの可能性

昨年9月に愛知同友会50周年事業の一環として行われた東アジア視察の報告会を開催しました。まず視察コーディネーターの渡辺俊三氏(名城大学教授)より、東アジア版中小企業憲章を目指すにあたり、ASEANの中小企業振興策に中小企業憲章を取り入れる可能性について問題提起をいただきました。

ASEANは単一市場、生産拠点として競争力のある経済地域の統合を目指し、2015年のASEAN経済共同体創設に向けた行程表を採択。その中で中小企業の発展の必要性を掲げており、視察先のタイ、ベトナムともにこの行程表に応じた中小企業振興政策を掲げています。両国とも新興国共通の中小企業政策の考え方の典型に沿って経営環境整備が中小企業政策の中で強調されており、中小企業憲章の考え方を受け入れる可能性は高いと指摘されました。

憲章の国際展開

こうした状況でASEAN諸国に対する同友会運動のあり方として、政府機関、中小企業者団体、中小企業家自身の3つのレベルの対象者に働きかけを行うことと提起。タイ、ベトナムでは窓口を広げるとともに、他のASEAN諸国にも働きかけを行うこと。こうした「中小企業憲章を国際的に展開する」具体的方法を探る段階に来ていると、今後の運動展開への課題を提起いただきました。

続くパネル討論では視察訪問先の印象や、視察を今後の同友会運動にどう活かすかを意見交換。タイにはすでに厳しい価格競争があり、このままでは今の日本と同じような閉塞感に陥るのではないかと懸念が示されました。

こうした状況を踏まえ、アジア一帯でのグローバル化がますます進行する中で、人間尊重の精神を根底にした同友会の中小企業憲章草案を共通の理念とする共存関係を構築していくことが必要不可欠であるといえます。そのためにも憲章運動の国際展開と、併せて国内での運動の更なる推進が求められることを確認する報告会となりました。