金融委員会 金融寺子屋(7月30日)
今の時代を生きのびる企業

影浦 泰一氏  (株)東京商工リサーチ中部地区本部長

金融情勢を学ぶ「金融寺子屋」に65名が参加

倒産件数減少の実情

金融委員会主催で、金融に関する情勢を学ぶ「金融寺子屋」が開催され、65名が参加しました。

金融円滑化法が終了して、「アベノミクス」による円安進行と、中小企業にとって不安定な情勢の中、今回は東京商工リサーチ中部地区本部長の影浦泰一氏を講師に迎え、国内400万件・全世界2億件の調査情報をもとに、バブル期頃からの倒産・負債動向と、円滑化法後の見通しについて講演いただきました。

2012年度の倒産件数は21年ぶりに1万2000社を下回るという減少傾向です。これは2000年に施行された民事再生法により、倒産ではなく休廃業・解散する企業が増えてきたことが大きく、近年では休廃業・解散の件数は2万5000社を超え、倒産の倍にまで増えています。

また倒産理由については、「放漫経営」がバブル期の30%から最近3年では4%まで減っているのに対し、業界不振や売掛金回収難などの「不況型倒産」はバブル期の50%から最近では90%を占めるまでになっています。

「よい会社」をめざす

金融機関の預貸率の推移も、かつては100%超だったものが最近は70%まで下がり、市場に資金が回っていない状況です。これは、融資できる会社が大きく減っていることを意味します。

円滑化法を適用している企業は30〜40万社あり、そのうち経営改善して再生できる企業は5〜6万社との極めて厳しい見通しが示されました。その中で実抜計画(実現可能性の高い抜本的な経営再建計画)を策定・実行し、改善を達成した企業は「経営者が真剣になって、社員と一丸となり改善に取り組んだ」という、同友会のめざす「よい会社」づくりの方向性と一致する特徴が紹介されました。

最後に、顧客や取引先のデータを分析し、客観的な正しさを手に入れること、そして「何もしなければ何も得られない」という言葉をあげ、行動に踏み切ることが何より重要であるとまとめました。