中同協総会−第5分科会(7月11〜12日)
地域と地球の明るい未来

〜住む人の幸せを叶えるために

山本 栄男氏  (株)サカエ

全国からの参加者へ熱い想いを語る山本氏

中同協第45回定時総会が宮崎県で開催され、愛知からの50名を含む951名が参加しました。第5分科会では愛知同友会顧問の山本栄男氏[(株)サカエ・代表取締役会長]が報告。以下にその概要を紹介します。

欧州の事例に習う

山が活性化することで、川や海の水が綺麗になり、そこに住む魚を食べ水を飲む人間にも良い影響を与えます。私はセヴァン・スズキ氏の伝説のスピーチ(1992年環境サミット)で、「大人がきちんと行動で示していますか」という言葉が胸に刺さり、環境問題は他人事ではない、子供たちが未来に希望の持てる社会を作りたいと思い、山おこしを始めました。

欧州では森林から伐採した木材を、広大な敷地に建てた製材工場やパレット工場で加工したり、そこで出た廃材を燃やして発電し、地域へ暖房を通したりしています。この事業を通じて、多くの雇用が生まれているそうです。

一方、日本は国土の65%が山に囲まれているにも関わらず、木材の80%を輸入に頼っています。そして、ピーク時には輸入材の2倍の値をつけていた国産材が、今ではほとんど変わらなくなっています。その結果、林業従事者が減り、山が荒れている状況なのです。

欧州の事例を日本でも取り入れたいと思い、行政や木材を扱う企業のキーマンを訪ねましたが、初めは相手にされませんでした。しかし、少しずつ私の想いに共感する人を増やし、木の家づくりに協力する工務店も集めて「あいち里山の木の会」を発足しました。次に木材の流通拠点としてサテライトを建設しました。

循環型社会めざす

今までは、傷や歪みのない木材だけが買い取られていましたが、サテライトではチップや柱など用途別に基準を設け、様々な木材を大切な資源として買い取っています。すると、山主が積極的に木材を運んでくるようになり、雇用も生まれました。また、窯でピザを焼くための薪の需要が多くあることも、サテライトの活動を通じて知りました。

このように、買い取られなかった木材に新たな価値が生まれ、山の活性化や新たな仕事づくりや地域づくりにもつながります。これが、私のめざす地域循環型社会です。

欧州など循環型社会が実現している国々に比べると、日本がそれに追いつくためには10年の歳月が必要といわれます。まずは、大人である皆さんが行動で示し、子供たちに明るい未来を残してほしいと思います。