第14期共育講座 第4講座(7月23日)
障がい者と共に育った25年
笠原 尚志氏 (株)中西

第14期社員と学ぶ共育講座(26社、77名が参加)第4講座、笠原尚志氏の報告内容を紹介します。
中西がめざすもの
私は20歳の頃にオイルショックを経験したことからエネルギー問題に強い関心を持ち、環境分野の道を選びました。回収業社は泥臭い仕事で苦労もしましたが、リサイクルでようやく業界にも陽の目があたるようになってきました。
中西はリサイクル収運業・処理業で、従業員55人中28人が知的障がい者です。経営理念には2つのことを位置付けています。1つは、地球の環境改善に関わるということ。もう1つは、知的障がい者の見過ごされがちな能力を活かすということです。
創業者の前社長が社会貢献として障がい者雇用を始めました。当時アルバイトだった私が「社長はすごい」と思ったのは、まだ雇用経験の少ない頃のことです。
重い自閉症で、面接もままならない人がいました。私は無理ではないかと思いましたが、社長は3回の実習を繰り返し、「なんとかなるだろう」と雇用しました。そして自らその人に張り付き、1つひとつ根気よく教えました。

可能性を追求
ビンのキャップを取る作業に最初は2分かかったものが、やがて1分、1月後には10秒、3月後には3秒と変わっていく姿に、社長は手放しで喜びます。ほんの少しの成長を喜びとし、生きがいとするその姿を見て、本気で褒め本気で叱る人育てが雇用を支えるのだと実感しました。
彼らには、自分の稼いだお金で生活を楽しむ「自立」を実感してほしいと思っています。教え、褒め、叱る、それには長い忍耐が要りますが、あるときパッと変わる、それは格別の喜びです。
そのような中で、健常の社員たちが障がい者委員会、あいさつ委員会、安全衛生委員会などを自主的に立ち上げ、共に働く環境づくりを進めてくれています。大変な面もありますが、投げ出さず、諦めず、人間の可能性を追求し続けていきます。