経営環境改善部門(10月16日)
条例を生かして地域をつくろう

〜愛知県中小企業振興基本条例制定1周年の集い

岡田 知弘氏  京都大学大学院経済学研究科教授

岡田氏と金田氏
庵地氏と藤沢氏

中小企業の役割とは

昨年10月16日に「愛知県中小企業振興基本条例」が制定されてちょうど1年を迎えたことを記念した集いが、会員、行政を含め91名の参加で開催されました。京都大学大学院の岡田知弘教授を迎え、「中小企業振興基本条例を生かして地域をつくる〜中小企業家に期待されること」と題した講演では、地域に生きる中小企業の経済・社会・文化的役割が2011年の東日本大震災の実例から明らかにされたこと。そして、現代のグローバル化の流れの中での地域経済の衰退を克服する打開策として地域内再投資力を高め、地域内のさまざまな主体を結ぶ戦略的連携の重要性を指摘しました。

さらに、その裏返しとして、各地での中小企業振興基本条例制定の広がりが見られる点が強調され、人間の生活の場である地域を豊かにすることは、住民一人ひとりの生活が維持され向上することであり、その点でも地域に根差した中小企業の役割が大きいことが確認されました。


会員、行政職員等91名が参加

条例制定の輪を広げる

続いて、各自治体の中小企業振興基本条例の実践事例報告として、愛知県産業労働政策課の金田主幹、名古屋市産業労働課の庵地産業企画係長・内藤主事、知立市中小企業振興策検討懇話会のメンバーとして条例づくりに参画した安城・知立地区の藤沢幸兄氏が登壇。各条例の特徴や狙い、制定の想いが報告されました。

加藤明彦代表理事からは「中小企業に求められる重たい課題を頂いた」と感想が述べられました。また、今期愛知同友会が掲げる方針である「同友会らしい黒字企業」と通じるものがあり、各会員が経営指針書の中で同友会らしい黒字企業を表現し実践していくことが、地域から求められる中小企業になる道筋ではないかと締めくくりました。

今回の記念の集いは、愛知県内の各自治体に一層の条例制定を押し広げていくとともに、すでに制定された条例を生かしていく契機とするために開催されました。中小企業に対する社会からの要請は高まっています。私たち自身が社会的使命を自覚し、地域を豊かにする同友会運動を推進していく必要があります。