経営環境調査委員会
景況調査の魅力とは

〜来年2月で開始から20年

立教大学の山口義行教授を座長に行われた景況分析会議(9月9日)。873社が回答、数値の裏付けとして現場の生の声が寄せられる

経営環境調査委員会では四半期ごとに景況調査を行い、その集計結果に基づき分析会議を開催しています。今回は経営環境調査委員長の太田厚氏より景況調査の魅力とその活動を語っていただきました。

数値は嘘をつかない

9月の日銀短観が10月1日に発表されました。それによると業況判断DIは、大企業製造業でプラス12、非製造業でプラス14ですが、中小企業製造業においてはマイナス9、非製造業はマイナス1でした。愛知同友会の8月の業況判断DI(業況が「よい」と回答した企業から「悪い」と回答した企業を差し引いた値)はプラス16で、愛知の会員の景況感が良いことが伺えます。

私が景況分析会議に初めて参加したのはリーマンショック直前でした。当初は、景況感やDI値とは何なのかわからず、自社には必要性もないと感じていました。しかし、リーマンショックで愛知を取り巻く景況感は最悪の状況となり、自社でもその影響は大きなものとなります。

当時は周りを見ても、まだ売上げが伸びそうだと甘い考えを持っていました。しかし、数値は嘘をつきません。全体のDIが下振りし始めているので、次第に影響が出てくるのです。ここで自社の景況感や私自身の主観には、時間的なずれがあることに気づきました。

先を読む力をつける

市場が目に見えて落ち込み、自社の数字にも顕著に現れると実感が沸きますが、その時に慌てても遅いのです。過去のデータを振り返っても、自社の売上、利益が結果的にはリンクしており、少しでも早く景気を読み、経営に反映できれば、安定した経営ができるということがよくわかりました。

その時の気づきが、今の経営にとって大きな力となっています。自社の経営戦略や仕組み、方針においても数字を読むようになりました。業界動向や設備投資計画、各省庁の予算や業界の就業人数の推移など、数値に目を向けた計画を立てるきっかけが、この景況分析活動なのです。