第17回障害者問題全国交流会 第4分科会(10月24〜25日)
働くことで社会とつながる
〜誰もが働ける会社を目指して
小出 晶子氏 タイヨー機械(株)

第17回障害者問題全国交流会が神奈川県で開催され、愛知からの24名を含め、45同友会から631名が参加しました。第4分科会では愛知同友会稲沢地区の小出晶子氏(タイヨー機械・代表取締役)が報告。その要旨を紹介します。
「できる」が前提
タイヨー機械は、自動車部品と事務用機械部品の組立を仕事としています。ベアリングは、一見単純に組んでいるように思われますが、精密さ・正確さ・清潔さが厳しく求められます。
社員75名のうち15名が障害者で、13年前から雇用を始めました。きっかけは、人手不足で求人を出しても応募がなく、地元の養護学校から実習を受け入れ、その後2名を採用したことが始まりでした。トレイに並べて出荷する作業は、製品ごとにトレイを変え、上下の向きを指示するなどの工夫で問題なく作業できるようにしました。
海外での現地生産化が進む中、仕事づくりは大きな課題です。多能工化の時流に逆行し、単能工化と緻密な工程管理で出来高を確保、「できる」を前提に適材適所を追求し、作業の改善は社内で道具や機械を作り出し、機械化や自動化がしにくい仕事を手がけます。彼らが社会とつながるための働く場所を、経営者としてしっかり守っていかねばなりません。
目的は夢の実現 利益は手段
15名の社員は、統合失調、聴覚、肢体、自閉の人などさまざまです。一人ひとりの自立をどう実現していくかを社員、家族、地域の関係機関と一緒に考え模索する毎日です。しかし、働く中で生きる力を身につけ、人を思いやる心が育つ、その姿に共に働くことの素晴らしさを実感しています。
給料は、健常の社員と同じ作業ができるので、同一労働・同一賃金です。目標出来高をみんなで確認し、最低賃金もクリアしています。彼らには、助成金がなくても十分やっていける力があるのです。
雇用を始めた当初、障害のある子は嫌いと言っていた社員が、最近は「なんとかしましょう」と言ってくれるようになりました。障害のある社員たちの「働きたい」という純粋な気持ちに、一緒にやっていこうという思いが掻き立てられます。
わが社は、何が何でも障害がある人が働けるようにとしてきたわけではありません。たまたま単純な作業があり、一緒に働くのはあたりまえだと考え、やってきた結果が今日に至っています。
経営の目的は夢の実現、利益はそのための手段です。私は、補い合い支え合い、誰もが働ける会社を目指していきます。障害があるとかないとかではなく、一人の人としてどう関わるかということが人間尊重の経営であり、同友会ではそういう学びを続けていきたいと思っています。