金融委員会―金融寺子屋(12月5日)
融資の命運を握る「格付」

小牧よしみ氏  (有)アクセスビレッジ

「格付」の仕組みの解説に聞き入る参加者

金融機関の自己査定

金融委員会主催の金融寺子屋が開催され、40名が参加しました。今回は、金融に関する基礎的なシステムである「格付」の仕組みを中心に学ぶ内容でした。

格付は、金融機関ごとに行われる「自己査定」によって決められます。具体的には、金融機関が貸付先の信用格付を行い、金融庁の「金融検査マニュアル」の債務者区分に沿って「正常先」「要注意先」「破綻懸念先」などに分類されます。

この分類で貸し倒れの危険性が高い債権ほど、高率の「貸倒引当金」を金融機関が積む必要があり、こうした先には資金がかさむため「貸せない」ことになります。また格付には、経営者の人柄や担当者との人間関係などは加味されないということも注意しておかなければなりません。

実行すべきポイント

以上から、金融機関にとっては格付が融資を実行するための決定的な要素であり、企業としてはまず金融機関に自社の格付を確認することが重要だと解説されました。

そして、経営者として実行すべきポイントとして次の点が示されました。第1に、収益性や効率性の改善はもちろん、資産や債務の状況を見直し財務体質の安全性を高めること。さらに、経営者自身が自社の事業内容や強み・将来性についてどう取り組むかを明確にし、数値で説明できるようになることです。

また、金融円滑化法をめぐる動きや金融庁の検査方針の変更など、金融を取り巻く環境も大きく変化し続けていることにも触れ、経営環境が厳しくとも自社の未来の可能性を粘り強く追求する経営姿勢が大切であると締めくくりました。