経営相談室 ― 事業継承セミナー(1月22日)
聞いて安心、正しい事業承継

継承事業の基本は魅力ある会社をつくること

魅力ある会社をつくる

経営相談室では、事業承継に関するセミナーを開催しました。セミナーでは承継の実務に必要な専門家として、弁護士の籠橋隆明氏、公認会計士の内藤充氏、コンサルタントの後藤昭人氏がリレー報告を行いました。

籠橋氏は、事業承継の基本としてまず「魅力ある会社をつくる」ことと「会社の財産と人間関係を譲っていくため長期計画の必要性」を挙げ、弁護士の役割として、承継全体の枠組み作成とトラブルの防止を担当することについて、様々な手法や留意点を紹介しました。

また、代表的な承継のケースとして、(1)親族への承継、(2)親族でない社員への承継、(3)承継者がいない場合などの事業売却(M&A)を、いくつかの事例や中小企業庁発行の「中小企業事業承継ハンドブック」をもとに解説しました。

資金融資制度を紹介

次に内藤氏が、会社の株式や資産移転の計画の際に把握すべき点として、大きく次の3点を説明。経営資源や資産・財務のリスク状況、経営者個人の資産や保証、承継の際に発生する税金(相続税・贈与税・所得税)の問題点を挙げ、これらの対策に公認会計士が入って、自社の資産価値算定や節税対策を行うことを解説しました。

最後に後藤氏は、承継によってまとまった資金が必要になる場合として、相続などで分散した株式や事業資産を後継者が買い取る資金、他人継承(親族外の経営陣や社員、あるいは社外の個人や会社が、事業を買い取る)の場合の一般的なスキームや手法、承継のための資金融資制度の紹介をしました。

また、経営者個人保証も、中小企業においては後継者にほぼ確実に引き継がれるのが現実です。そのため、承継に先立ちできるだけ債務圧縮するなど、後継者の負担軽減の必要性が指摘されました。