東尾張支部・障害者問題委員会交流例会(1月28日)
同友会の目指す経営 〜人間尊重・三位一体の実践
林 康雄氏 (株)林商店
江尻 富吉氏 信濃工業(株)

3回目の交流例会
今年で3回目となる東尾張支部と障害者問題委員会の合同例会は、「同友会の目指す経営」をテーマに会員企業の他、県立春日井高等養護学校の先生、障害を持つ社員など総勢20名が集いました。
東尾張支部長の林康雄氏は、「労使見解と指針・採用・共育の三位一体を基にした経営は難しいが、さまざまな経験から理解を深めていくことが重要。ここに、障害がある人も同じように位置付けていきたい」と提起しました。
それを受けて障害者問題委員会で相談役を務める江尻富吉氏が、障害者と共に働くことで成長・発展してきた経営姿勢や企業づくりについて報告しました。
江尻氏は、創業時からエリート集団を目指し、採用と教育に懸命に取り組みましたが社員は全く定着せず、苦い経験を繰り返していました。
無限の可能性
ある時、知的障害の社員T君を採用したことから人間尊重について深く考えさせられるようになります。T君は、漢字が読めず、しゃべることができず、時計が読めないという人でした。掃除をさせようとしても握力が弱くほうきを持つこともできません。しかし、毎日の教育で次第に力がつき、NC旋盤の部品取り替えができるまでになりました。
T君が削り損ねた部品を旋盤の下に隠していることが発覚した時、江尻氏は「彼には不良だと認識できる力が育っている。ならば、もっとできることがあるはずだ」と仕事の幅を広げていきました。
こうした経験の中から、人間性重視の企業風土を築き、社員が定着し技術の継承もできるようになり、バブル崩壊やリーマンショックなどの経営危機を乗り越える力が備わってきました。
両氏の報告から、同友会理念はすべての人に共通のものであり、障害者雇用やインターンシップを身近に考えることができました。また、今は雇用ができなくても、企業見学への協力や養護学校見学、作業所との仕事連携など、さまざまな関わり方があるという理解も広がりました。
(有)真晴 布野 孝幸