「中小企業憲章」の理念に反する
中小企業の課税強化に反対します

2014年6月16日 愛知中小企業家同友会

 

2010年6月18日に閣議決定された中小企業憲章には、「中小企業は、経済を牽引する力であり、社会の主役である」、「中小企業は、経済やくらしを支え、牽引する。創意工夫を凝らし、技術を磨き、雇用の大部分を支え、くらしに潤いを与える。・・・中小企業は、その大いなる担い手である」と明記され、中小企業の経済的・社会的役割を高く評価し、その成長、発展を国の総力を挙げて後押しすることを定めています。さらに先般、日本創成会議にて発表された存亡の危機にある市町村では、特に地域と密着して活躍している中小企業の存在・役割は、大変大きいものであり、かつ重要な位置を占めています。

 

今回の中小企業・小規模事業者への課税強化は、赤字企業のみならず黒字企業にも大きな打撃を与えるものであり、中小企業憲章の精神を真っ向から否定するものです。

 

身の丈の小さい中小企業・小規模事業者は、そのこと自体で競争上のさまざまな不利を負っています。経済を活性化させる公正な競争環境を担保するには、税制をはじめとする様々な社会制度のなかでこの不利を是正することが何よりも求められます。したがって、今回の法人税減税の原資を、いたずらに中小企業・小規模事業者に求めるのではなく、もっと広く検討すべきであると考え、さしあたり下記事項について反対します。

 

一、法人事業税の外形標準課税適用拡大に反対する。

一、中小法人の法人所得800万円に適用される軽減税率(15%)廃止に反対する。

一、欠損金の繰り越し控除の縮小に反対する。

一、減価償却の定率法の適用廃止に反対する。

一、同族会社の留保金課税、特殊支配同族会社(一人オーナー企業)の役員報酬の損金不算入制度の復活に反対する。

 

これらは、法人税の実効税率を引き下げるために、その代替財源を捻出するために中小企業を犠牲にするものであり、中小企業の現状や日本社会における役割を無視した理不尽な措置と言わざるを得ません。中小企業・小規模事業者への課税強化は、「産業の新陳代謝が阻害される」との誤った認識のもとで廃業を促進する税制であり、必死に経営を続け、雇用を守り、地域経済を支える中小企業家の立場から断固反対致します。