金融アセスだより(第92回)

昨年度行われた愛知県信用保証協会との懇談会

経営者保証のない融資

昨年12月に「経営者保証に関するガイドライン」が公表されました。目玉は「経営者保証に依存しない融資の一層の促進」ですが、「既存の経営者保証の適切な見直し」、「保証債務の整理」、「経営者保証の契約時の対象債権者の対応」等も含まれています。

中小企業経営者は融資を受ける際、必ず個人保証を求められてきました。これが新規起業数の減少や事業承継、後継者選びの大きな障害の1つともいわれてきました。今回のガイドラインにより、ハードルは依然高いものの解消への道が開けたといえます。

この中で経営者保証を外すためには、(1)法人と経営者との関係の明確な区分・分離、(2)財務基盤の強化、(3)財務状況の正確な把握のため、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保、の3点が求められています。これらを満たすか、満たしつつある経営者から要請があれば、金融機関は検討することが求められるようになったのです。

同友会型黒字企業の実現

会社と社長個人の資産・経理の明確な分離や、お金のやりとりが社会通念を超えない等は、会社の成長過程で改善していくべきことです。そして、会社の資産・収益力のみで返済可能になるには黒字経営の継続が必要となります。これは同友会型企業の姿とも重なります。また、適時適切な財務情報等の提供は、もともと銀行取引約定書で求められています。

これらを満たすことは中小企業にとって大変なことですが、後継者の重荷を軽くしておくに越したことはありません。ガイドラインでは保証条件の見直しに対しても真摯に検討することとなっていますので、経営者保証を外せないまでも、自分自身や後継者、ひいては自社の未来のためにも、一度金融機関と話し合ってみてはいかがでしょう。

 

赤津機械(株)  藤田 彰男