どうゆうき

▼「『集団的自衛権の行使』容認は、海外での武力行使を禁じた憲法9条を破棄するに等しい。憲政史上に汚点を残す暴挙だ」。これは、7月2日付中日新聞の社説の冒頭です。自国だけでなく他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認は、戦後69年続いた日本の平和主義と、自衛隊が戦闘で他国の人を1人も殺さず、1人も殺されなかった歴史を根本から変えることになりかねません

 

▼軍事力で紛争解決をしない平和主義は、世界の人々、特にアジア・中近東の国々から歓迎され、尊敬されてきました。政府が行使容認の要件とする国の存立と国民の権利が脅かされる「明白な危険」という文言はとても抽象的なものです。憲法の解釈を恣意的に変える政府であれば、拡大解釈が行われ歯止めが利かなくなります

 

▼米国の対イラク開戦の論拠だった大量破壊兵器の保有は誤った情報でした。これと同様に、明確でない論拠で米国から戦争参加を求められても、これまでのように憲法を盾に断ることができなくなります。自衛隊が他国を守るために参戦すれば、相手国から日本が報復の危険にさらされてしまいます。例えば、テロによる航空機の自爆やミサイル攻撃によって、浜岡原発が狙われれば、どんな結果になるでしょうか

 

▼具体的に考えると恐ろしくなります。放射能汚染は東京から愛知まで拡がり、住民や企業に対する被害と共に、新幹線・高速道路等の大動脈も被災するのです。やはり、軍事力ではなく、外交的努力や文化交流などによって緊張を和らげ、武力の衝突を回避する平和主義に徹するべきだと思います。

 

(株)サンワ  吉田 正克