第15期役員研修大学 第2講座(6月16日)
同友会理念とその実践

加藤 明彦氏  エイベックス(株)

「危機感を持った経営を」と語る加藤氏

変化に対応

同友会の本質は労使見解にあり、経営者には外部環境の変化に対応して経営を維持し発展させる責任があると、報告者の加藤氏は強調します。経営状況の厳しさを他人のせいにしていないかと、受講生へ警鐘を鳴らしました。

当初はミシン部品を製造していましたが、生産が海外に移って仕事がなくなってしまいます。次に携わった8ミリカメラの部品ではビデオカメラの出現によって、またも仕事を失うことになりました。

その後も、ブレーキ部品やスプールバルブと取扱い製品を転換させてきた加藤氏。そのような経験から、技術革新や市場縮小といった外部環境の激変により、継続的な安定を望むことは難しいと痛感しました。

地道な実践が必要

それを克服するには外部情報をしっかり掴んで危機感を持ち、自ら市場を創造すること。そのために事業領域の幅を広げ、自動車部品製造業ではなく、「精密切削・研削のプロ集団」として、新たな仕事や売り先を創出してきました。また、雇用は人件費がかかるという考えを改め、社員の存在で自らは経営に集中でき、互いに高め育ち合い会社をより発展させることにつながると、人材採用と育成の必要性にも触れました。

「かつて自社が伸び悩んだ理由は、自分が会社を一番よく分かっているという驕りがあったから」と加藤氏は語ります。報告から、同友会で経営者同士が意見を出し合い、社員目線で学ぶ意義や、拙速に答えを求めずに会で学んだことを自社で地道に実践する重要性を受講生は確認することができました。