第15期役員研修大学 第3講座(7月28日)
「労使見解」の実践

吉田 幸隆氏  エバー(株)

実体験を率直に語る吉田氏

自分本位からの脱却

労務労働委員長であるエバーの吉田幸隆氏より、「労使見解の企業での実践」をテーマに「人間尊重経営とは何か」を、生命の尊厳性、個人の尊厳性、人間の社会性の3つの側面から報告いただきました。

吉田氏は入社当初、自身の経営者としての能力を試す場として会社を捉えていたといいます。指針を作っても内実は自分本位な指示書であり、幹部社員が相次いで退職するなど、社員を信頼できるパートナーとしては見ていませんでした。

その後、社内での労災事故やリーマン・ショックで社員との信頼関係が大きく揺らいだ際、最低限の生活保障や職場の安全確保がどれだけ重要かを考え始めます。

自社の危機に際し、会社を支えてくれたのは、社員や取引先、金融機関の人々でした。このことから会社は自分1人のものではなく、関わる全ての人と、あてにしあてにされる関係を高めていくことの大切さを実感したといいます。以来、社員を最も信頼できるパートナーとして、社員と共に成長し合える企業風土を構築すべく奮闘しています。

人間尊重経営の根幹

人間尊重というと、人に優しくするという意味で捉えがちです。しかし、社員が仕事に誇りを持ち、自社で働けてよかったと言えるような、経営者と社員が夢を共有し、成長し合える関係を築くことこそが人間尊重経営の根幹なのです。「地域社会を支える中小企業、そして同友会会員としての使命と自負を忘れず日々の会活動に励んでほしい」と締め括りました。