人を生かす経営学習会(8月4日)
労働人口減少に備える
〜多様な人材を生かす仕組み

吉田 良生氏  椙山女学園大学現代マネジメント学部教授

社会保障制度、労働力人口、市町村の存続など推計データより解説

長く働ける環境づくり

第3回人を生かす経営学習会は男女共生委員会主催で開催し、48名が参加しました。人口減少が社会に及ぼす問題について、椙山女学園大学の吉田良生教授より、社会保障制度、労働力人口、市町村の存続等の推計データを用いて解説いただきました。

2010年をベースにしたデータでは、50年後(2060年)の人口は9000万人と予想され、現在の出生率1.42が2.00以上にならない限り人口減少は止められないと言います。政府は、労働人口減少で経済が縮小していくことに対して2%の経済成長を計画。そのためにも女性や高齢者を含め、様々な人に少しでも長く働いてもらう必要があるのです。

矛盾を解決するために

若者が置かれた状況の中で、結婚しない方が自分にとっては幸せだと考える人が多数を占めた結果が少子化・人口減少です。言い換えれば、個々人の幸せ(ミクロ)な選択で社会全体(マクロ)が維持できないということです。これは、ミクロとマクロが矛盾しないよう社会を変えていくことでしか解決しません。

ワークライフバランス(WLB)で仕事と結婚・子育てが両立でき、仕事をしながら2〜3人の子供を産み育てているスウェーデンの例があります。日本でもこれができれば出生率の回復につながるかもしれず、マクロとミクロの矛盾解決はWLBにかかっている、とまとめられました。

参加者からは、「大企業との格差をはじめ様々な環境問題を抱える中で、中小企業がWLBを本当に実現できるのか、この相関関係を見える形で示して世間の人々に理解してもらいたい」「ミクロの私たちが何ができるのかを考えるのが経営者だと思った」「WLBのとれた会社をめざしているが、雇用格差から社員の間がギスギスし悩んでいる。社会全体で考え方を変えていく必要を感じる」等、切実な課題が出された学習会でした。