第37回総会活動方針〜変化を読みとり、地域とともに〜
三六期の経過報告や情勢と展望で紹介しましたように中小企業の経営実態は二極化された状況にあります。こういう時代には情勢の変化を先読みしたり、変化に対応して二一世紀型企業づくりをめざす取り組みが重要です。会員の要望を実現するために昨年から始動した「支部活動強化」「委員会活動充実」の実行年度と言えます。第三七期の活動方針はこういうとらえ方を前提に編成します。
T.同友会運動を企業の総合力強化に
同友会運動の最大目標は同友会理念に裏打ちされた会員企業の経営を強固なものにすることです。次に掲げる六つの課題の活動を実践します。
(1)「経営指針」を確立
実践同友会の経営指針は◎経営理念、◎経営方針、◎経営計画によって構成されています。経営指針成文化は同友会三つの目的の具体的な実践課題で、会の中心的な活動の一つです。◎成文化により、企業経営に対する経営者の任務が明確になります。◎企業の社会的な役割、将来ビジョンが明確化されます。◎会員の多数が経営指針を確立することにより、会の内外の信頼と評価を高めます。活動方針として次の方向を提案します。◎経営指針の全体像を習得するために勉強会を活発に推進します。◎経営戦略、経営理念を深め、経営者の意識変革のための錬成の場をつくります。◎社員参画の理念を深め、多様な参画の経験を学び、実践のための経験交流を進めます。◎経営指針確立に至るステップアップの仕組みをつくります。◎経営委員会は、運動を効果的、系統的にするセンター機能を追求します。
(2)共同の力で求人活動
共同求人活動の目標は◎原点は魅力ある企業づくり。◎人間尊重の企業を目指す共育活動。◎青年の自立を励ます人育て。◎学校との信頼を広げる地域づくりの教育運動。◎参加企業が増えることで地域の中小企業の再評価をすすめる同友会活動。等です。就職協定の廃止をはじめ中小企業の求人環境の厳しさは参加学生の減少という形で表れています。こういう環境下で大切なことは学校との間にどれだけ強固な信頼関係をつくるかということです。中でも高校求人は地域の職業安定所や学校とのネットワークづくりが大切で、支部や地区活動と結び付けて取り組むことが必要です。
(3)人間らしい人間づくりの共育活動
企業経営の最大課題は人を育てる社員教育です。特に、構造転換の時代には若い社員の積極的な問題意識ややる気をどのように引き出すかが重要な課題です。集合教育の場としての教育講座は、社員教育の場であるばかりか、派遣する経営者自身の共育の場でもあります。「教育とは経営者にとって都合の良い人づくりではなく、社員一人ひとりの人生を創る人間教育であり、経営者自身の自己革新を伴う共育」と考えます。よい人を育てることは地域社会の財産を育てることにつながります。地域の優秀な人材を採用し、人間らしい人間に同友会活動を通じて育てましょう。今年から新たに大学が取り組むインターン・シップの企業研修を受け入れて実施します。
(4)政策提言できる同友会をめざす
同友会の政策活動の目標は◎国や地方自治体の中小企業支援策の宣伝と活用◎公的融資、助成制度の拡充を要望◎税制、信用保証制度、銀行の貸出姿勢等に付いての改善要望◎試験研究機関や中小企業情報機関の有効活用◎労働、福祉、教育等、施策の宣伝・活用◎街づくり、商店街活性化等の調査と自主的取り組み◎中小企業と国民生活の安定のための政策提言等、企業経営をとりまく環境を整備していくことを目指します。活動改善が進行する中ではそれぞれの地方自治体に対応する支部の政策活動をスタートさせ、他の中小企業団体とも研究・交流して、将来に向けて中小企業の経営を安定させる政策を提言できる力を身につけましょう。
(5)ネットワークを活かしたビジネス交流
長期にわたって景気が低迷する今日の環境の中で、会員は経済交流の要望や業務提携・共同開発、インターネットを活用した会員交流の期待等を高めています。異業種交流、ビジネス交流の課題は「テーマ設定」にあります。同友会理念に基づき、ホンネで話せる信頼関係を築き、会員が相互に生きた情報交流をすることが重要です。会内では今日の構造変革の情勢を背景に同業会員による情報交流や事業創造にも取り組みます。
(6)人口一○万人の地域に百名の同友会をめざす
「国民や地域社会と共に」という同友会の考え方は、国民生活を基礎的な部分で支えるのが中小企業であり、地域と密着した企業活動を進めていくことにあります。昨年は東京大田区で中小企業が活躍する地域づくりの姿を学んで来ました。同友会としては「人口一○万人の地域に百名の同友会」を今後の大目標とします。支部活動では地域経済や労働・教育・福祉等の課題で交流し、市民生活と中小企業がともに発展する地域を目指しましょう。