第9回障害者問題全国交流会inAICHI(11月12・13日)
「学び、体験し、感動した」交流会のまとめと参加者の感想
第9回交流会を終えて(障全交実行委員会)
分科会で受けた刺激と発見
愛知の皆様には、約九十名の実行委員体制で応援いただき、各支部でも事前学習会を開催していただくなど、ご協力をいただきました。今回の交流会では「(1)これからの時代にむけて、人間性を深め、今までの効率優先の尺度を問いかけ、企業の利潤追求と共生の関わりを考えよう、(2)学んで感じたことを行動に移そう、(3)各県に障害者問題委員会を、愛知により一層の理解者づくり」を目的に取り組んできました。障害者との共生に関わる五つの分科会((1)入門編としての雇用、(2)バリアフリーの考え方と福祉ビジネスの展開、(3)企業風土づくり、(4)障害者と共に作業体験、(5)共生の商店街づくり)で、参加者三百二五名が自社の経営と絡めて討論しました。各分科会では、多くの刺激と発見があり、自社経営を見直すきっかけにしていただけた様子が、アンケートから感じられました。
感動が自社を見直すきっかけに
また、「感動から行動へ」と呼び掛けてきましたが、寄せられた感想では、具体的なこれからの方向付けを自分の言葉で語っていただいています。ある支部での報告では、「第二分科会で学んだバリアフリーの考え方をもとに、次の仕事を取り組みたい。早く注文がこないか待ち遠しい」など、自身の血肉になった感想も述べられています。「準備をしながら多くの考え方、視点を学び、視野が広がった」と言われるように、飛び込んで体験してみなければわからない分野だけに愛知からの会員一五〇名の参加は、たいへん心強く思います。そして初参加の方々のほとんどが障害者問題を「身近に感じ」ていただき、広がりを生みだしました。他県同友会については、数県から同様に「地元同友会の取り組みに生かせるきっかけをつかんだ」という感想が寄せられ、懇親パーティでは各県のメンバーからの前向きな発言が続き会場全体を力づけました。最終実行委員会では、こうした前進面、改善していく点などを確認しました。今後、障害者との共生と企業経営について、障害者問題委員会だけでなく、愛知同友会のをあげて関わっていただけることを願っています。
第1分科会(雇用)の感想
●障害者雇用で社風が変わっていく話は感動した。初めて聞くような問題が多く、考えさせられた。
●障害者を採用するには自分を変えていく必要があり、よほどの努力が必要だと感じた。
●初めての参加だったが多くのことを感じた。今まで全国行事に参加しているが、この交流会は同友会運動の原点にあるような思いになった。二十一世紀企業のあり方に多くの成果があった。
●企業家、専門家、障害者を抱える保護者(障害者を含む両親等)、そして地域の人が認識を深め、互いに理解しあい、高まっていくことの大切さとその継続性を痛感。
●「人は無限の可能性を持っている」と信じて身障者を雇用し、環境整備がきちんとなされ、知恵を出す集団としてよい社風ができたと報告された山下社長の話に感動。
●障害者問題について考えることは自分の人生観・生き方に直結している。
●身近に感ずることが大切だと思った。
●人は皆一緒、他人はいないと感じました。
第2分科会(バリアフリー)の感想
●営業の展開がみえてきた。障害者の営業活動の中には健常者がやれない体験の中でビジネスチャンスをつかむ。
●バリアに対する考え方が変わった。
●福祉ビジネスは半端な者にはできない。しっかりとしたコンセプトと取り組む一大決意がないとダメです。今までの安易な考えがよくわかったことが大成果。
●健常者と障害者は同一の視点(ノーマライゼーション)で考えなければならないと感じた。そしてお互いに十分なコミュニケーションを持たねばならない。
●全国会合に出席することにより自分の意識が高まりました。バリアフリーは人と人との垣根を取り除くことであると感じた。自分の中でのバリアフリーを行うことが必要だと思います。
●予備知識はあったが、氷山の一角しか見てなかったことに気づいた。車椅子の祖父が楽しい老後を送れるよう協力したいと切に感じた。同友会はもっとこのことに取り組むべきである。
●自社でできることを全社員で考える機会となった。
●バリアフリーという視点が自分はあまりに小さかった。潮設計の佐藤氏の「自然には境界線がない」との考え方に感動した。また、経営者として健常者も今四割が障害者であるという認識で、障害者問題を考えていきたい。
第3分科会(企業風土)の感想
●人を愛することは当然のことです。障害者も人です。区別して考えたことはありません。わが社でも身障者を雇用していますが、次に新入社員が必要な時は、障害者を雇用するつもりです。
●経営者としての人間的資質を高め、障害者問題を含め先送り問題にしない。社内でも環境・共育・障害者・高齢者問題等を、生活経営の中でどう実践するか具体的に考えていきたい。
●重い障害をもつ人達とともに働くことによって互いに助け合って働くこと、互いの能力や長所短所を認め合う企業風土ができるのだと思う。
●心が満たされる地域社会を取り戻したい。衣食住が足りても家族や学校で「心」を教えていない現状では、人(障害者)に対する真心は生まれてこない。
●障害者をどう受け入れるか、次世代の子供達にどう共生していけるか、今自分のやれることをしていくしかないと思った。
●自社の経営理念の話でなく、障害者雇用と自社の係わりを話して欲しかった。
●会員が二十一世紀に向かって高齢者、障害者問題をまじめに考えていること。
●障害者という言葉自体が既にバリアフリーとなっていること。本当のバリアをなくす意識を持たなくてはならない。自分はもっと共生について、仕事や生活の中で深めていきたい。
第4分科会(作業体験)の感想
●中同協初の作業体験分科会は感動でした。
●地元で始める手だてが見つかったこと。ありがとうございました。
●障害者問題は社会全体の大切な課題という認識のもと、運動という視点をもって取り組む必要性をあらためて感じました。
●障害者同士が良い面で協力しあっている。
●我々健常者と障害をお持ちの方、共に社会に提案し、前向きに行動することが大事だと感じた。自信をもってやっていきたい。
●作業が早く終わってしまい汗をかくことができず残念でした。半日作業、半日討議をしてみたかった。
●作業所の人達はしっかりした意見も言えるし、社会にとけ込もうとしていた。
●障害者に対して偏見をもっていたが、今回参加して考えが変わり、よかった。
●障害者も仕事に対し意欲があり、特にリーダーは仲間意識があり、仕事を力いっぱい楽しんでやっていた。
●まず何事も参加し、行動することの大切さを実感。
第5分科会(街づくり)の感想
●ユニークな企画とフォーラムと周到な準備活動に心から感動しました。愛知の皆さんに心から御礼申し上げます。この運動をより発展させるため微力ながら尽くします。
●とにかく参加すること、やってみることなんですね。何となく第一歩が自分の中で始まったようです。今後できる範囲でできることを実践しようと思います。
●障害者の自立が大切だと思った。
●短い時間で一部分ではありますが障害者の体験ができ、世界が広がったようです。
●障害者の目線で街を歩いてみるといかにバリアが多いか改めて実感した。早急なハードの改善が無理であれば、まず障害者と介助者が気軽に声を掛けられる社会にしたい。
●生活環境から向きあう人の心のバリアをなくし、障害者の問題でなく、日本人、人間として共に生きる「愛」の大きさを問う時代を感じた。
●とにかく参加したことに意義を感じました。
●障害者問題の関係書物を十冊読んで障害者への理解を深めるより、実体験のふれあいに時間をついやしたほうが、共生の社会へ第一歩を踏み出す契機となる。
障害者ボランティアの方々の声
「大須で思ったこと」視覚障害者 長谷川了示
「大須は障害者にも利用できる街なのか?」そんな視点から同友会の方々と、街を見て回りました。音響信号機や点字ブロックなど、誘導施設がないわりに歩きやすいと感じました。それは迷惑駐車・駐輪がないこと、アーケードがあって、天井の高い廊下を歩く気安さがあること、そして一定間隔で据え付けられたスピーカーが、方向定位のまたとない手掛りになっていたからです。買物をしました。手を取って扱い方を教えて下さり、接客マナーも上々です。「古きよき時代」の人情を残しながら、若者にも「魅力ある街」なのだと思いました。ブランドもののスーツを着こなした紳士がアイマスクを付け、顔を引きつらせて白杖を振る図は、道ゆく人にはユーモラスに映ったかもしれません。しかし盲人の疑似体験に挑まれる姿は、真剣そのものでした。お茶を飲んでいた時、「聴覚障害者に機械音の変調を光の点滅で知らせる工夫をした」と、ある経営者の方から伺いました。「就労する障害者の大多数が、中小企業に属している」という統計上の「数値」が「実像」として認識できたのは、貴重な体験となりました。ノーマライゼーションやバリアフリーの理念・運動は、直接経営にかかわるこうした方々の理解と実践があって、力強く定着・発展することを深く思わされた一日でした。
「出あいこそ理解のはじまり」介助ボランティア 後藤尚子
障害者を理解するには、とにかく障害者に出あい、その暮しぶりについて知る経験・体験をすることが、一番だと考えています。参加者の皆さんは実に熱心で、視覚障害者の模擬体験の中から多くのことを学ばれました。例えば、アイマスクを使用して歩行中に友人に声をかけられ、降り返った瞬間進行方向が分らなくなってしまった経験や、店の前に止めてある自転車が歩行の妨げになることを実際にぶつかった痛みで知ったことなど、どれも貴重な体験であったと思います。ひとつひとつの経験を丁寧にメモしておられる様子に、みなさんの障害者問題に対する真摯な気持を感じました。と同時に、私自身こうした小さな出あいのひとつひとつの積み重ねで、社会を変えていかねばと強く思いました。
会外参加者の感想から
★真剣に取り組んでいる姿勢に感動した。障害者雇用の実例とその効果を知り、勉強になった。(第1分科会/こすもす生活園)
★初日のみの参加でしたが、企業家の方が前向きに取り組んでいることを知り、嬉しく思いました。障害者の父親として社会の中のわが子をずっと見つめていきたいと思います。ご支援をお願いします。(第1分科会/あさみどりの会)
★障害者との垣根を取り除くことは重要……障害者は一生である。障害を無視して地域との関係をつくるのはむずかしいと思う。障害はそれはそれとしてとらえ、理解を深め共同した地域(街・風土)づくりを続けていって欲しいです。(第1分科会/共同作業所全国連絡会)
★今まで障害者と関わったことのない人達の中でこれから関わろうという積極的な気持ちが生まれてきているのが感じられました。今現在関わっている自分自身も、新たな視点で関わっていきたいという気持ちになりました。(第1分科会/職業リハビリセンター)
★私は知的障害者の職業訓練・就労支援を行っている者ですが、企業の方がこれだけ熱心に議論され、私ども福祉の世界以上の熱心さを感じました。次回の全国大会ではもっと「情」だけの話だけでなく、「具体的なプロフェッショナルな」支援方法も検討して下さい。(第3分科会/職業リハビリセンター)
★まだまだ改善する部分がたくさんあると思った。(第3分科会/日本福祉大学学生)
★山崎氏(記念講演)のお話の中であった日本のバリアフリーは"専用"というものをつくるだけのものになっているとありましたが、本当にそうだと思いました。(第3分科会/日本福祉大学学生)
★いつも大企業にばかりに目がいく私ですが、今回の交流会において中小企業の方々が真剣に話をなさっているところを拝聴し、自分自身が恥ずかしかったです。このような交流会がありましたら、今後もぜひ参加させていただきたいです。(第3分科会/日本福祉大学学生)