地域と中小企業の活性化へ提言
愛知同友会「政党シンポジウム」を開催(3月12日)
五党の国会議員を招いてパネル討論会を主催

愛知同友会では、一昨年より三度にわたる「貸し渋り調査」や「中小企業金融安定化特別保証制度」の実態調査、また年四回の「景況調査」を行い、中小企業の現状や要望をマスコミを通じ、広く世間に発表してきました。また一昨年より、(1)愛知県や国民金融公庫との懇談会、県への「中小企業政策に関する要望書」の提出、(2)日本福祉大学とのインターンシップや産学協同セミナーの開催、(3)「中部リサイクル運動市民の会」など、市民団体との協力によるビジネス古紙回収の取り組み、(4)各研究機関や行政・教育機関からの講師やパネリスト依頼などに積極的に応えてきています。このような運動の流れの中、今回は、私達中小企業家の要望を国の政策にも反映させようと行なわれたのが、今回の「政党シンポジウム」で、パネリスト・マスコミ関係者等を含め、当日百二十八名が参加しました。まず佐々木会長から、二月末の「愛知景況調査」の分析結果を踏まえた「中小企業の仕事確保」と「消費意欲活発化のための政策」、そして「中小企業金融の安定化のための政策」が質問され、各党の方々がこれに答える形で進行しました。
後半の論議として、山口義行氏より、氏の「金融機能向上のための緊急政策提言」の説明が行われ、金融再生委員会設置法の改正や、金融監督庁によるあらたなチェック項目の設定等、具体的に金融監督庁が行なうべき項目が提案。主旨については大筋、各党のパネリストも合意を表明されました。最後にコーディネーターの黒瀬氏より、「中小企業家・市民と国会議員が『法律を創るため』の初めての懇談になったことについて、今後とも全国的な広がりが期待されます」とまとめを行いました。
また愛知同友会では今後、今回きりのイベントにせず、研究会等で意見交流できるような場も検討されています。なお、今回のシンポジウムの配役は以下の方々です。

〈パネリスト〉
◎自由民主党大村秀章衆議院議員(党商工中小企業関係団体委員会副委員長)
◎民主党木俣佳丈参議院議員(党中小企業活性推進小委員会事務局長)
◎公明党荒木清寛参議院議員(党副幹事長)
◎自由党鈴木淑夫衆議院議員(党政策調査会副会長、党税制金融問題調査会長)
◎日本共産党佐々木憲昭衆議院議員(党経済政策委員長)
◎山口義行氏立教大学助教授(愛知景況調査座長)
◎佐々木正喜氏愛知同友会会長
☆〈コーディネーター〉黒瀬直宏氏豊橋創造大学教授
どうゆうき
▼作家浅田次郎氏は、この不況を「平成の大飢饉」とも呼ぶべきものだと語っています。餓死者こそいないものの、東京の上野公園ではホームレスの仮住まいが延々と並び、ここが世界第二位のGDPを誇る経済大国の首都とはとても思えません。名古屋でも久屋公園を始め、ホームレスが着実に増加しています。底辺での貧困の広がりは、経済不況の象徴となっています▼中小企業は日本最大の雇用者であり、国民に対してその責任はいまだ減ずるものではありません。しかし、仕事がなく、お金もなければ、私達とて何時までもその責任に耐えていくことはできません。なぜこのような事態が生じたのか。浅田氏は「平成の大飢饉」と「安政・天保の大飢饉」を比較し、今回のそれが自然に起こったものでなく、人為的、あるいは政策的ミスによることが大きいと主張しています▼愛知同友会が主催した地域と中小企業の活性化のための「政策シンポジウム」は、中小企業家が直接政治家にもの申し、また政治家の意見を率直に学ぶという点で画期的なものでした。政権党を含め、日本の主要五党が、私達の呼びかけに応じてくれたのは、単に同友会の社会的知名度が上がっているだけではないでしょう。中小企業の役割を重視し、その活性化が、今後の日本経済の復活を決するとの認識が強くなったことの現れと見るべきでしょう▼国会会期中の多忙の中、私達の声をしっかりと聞いてくれた自民・民主・公明・自由・共産の各党の議員の皆さんに、ぜひ私達中小企業家の要望や意見を国政に反映してもらいたいものです。
政策委員長 山田正平