中小企業家は地域交流をどう考えているか?
日本福祉大・小栗ゼミが会員企業を分析(第二回)
先月号では、昨年末、日本福祉大学経済学部の小栗ゼミ(指導教官・小栗崇資教授)が行った「企業の社会貢献活動等に関するアンケート」調査の内、「社会貢献活動」の調査結果を掲載しました。今月号では、「同友会ビジョン」の中の大きな一つの柱である「地域社会とともに歩む中小企業」を視野に入れ、「地域交流」についての調査結果を掲載します。なお先回に引き続き、以下のコメントについては小栗ゼミの学生(三年生)によるものです。(編集部)

(1)地域社会からの寄付の依頼について
「地域から寄付を依頼されたことがある」と答えた企業は八八・三%、それに応えた企業は八五・二%となっています。不景気の中でもほとんどの企業が依頼を受けいれている事から、企業側は「地域社会の一員である」という意識をしっかり持っているということが感じられました。
会社はどんな形で地域社会に貢献するか
「地域への寄付だ」とする回答は五三・七%と、前問で八五・二%が「寄付をしたことがある」と答えた割に、それが社会貢献であるという意識はあまり見受けられませんでした。「地域からの雇用の受け入れ」が四一・四%、また「製品とサービスの提供」が三九・五%となり、やはり本業で地域に貢献していくという意識が強くあります。ただ、「会社施設の公開と利用」が五・六%と低く、会議室の提供等は、もっとあっても良いのではと思います。
(2)地域社会と企業との関係は
「地域の繁栄があってこそ企業は存続できる」と答えた会社が五三・一%と過半数でしたが、二番目には「貢献したいという意思はあるが、余裕がない」が四一・四%となっており、中小企業家の本音がよく出ていると思いました。また、「貢献したいが方法が分からない」という回答が八・〇%あり、企業と地域社会とが交流しあうチャンネルが不足していて、企業と地域社会の双方に問題があることも浮き彫りとなりました。しかし、全体として企業は前向きな回答を示していることから、地域社会に貢献していこうとする意識が十分あると思います。
(3)今後の地域と企業の関係は
企業側は、貢献の意思はあるが何をしたらよいか分からない、一方、市民側は何かを企業にして欲しいが、企業がよく分からない。こんな中で必要になってくることは、相互に話し合う機会を持ち、できることから始めることだと考えます。企業側は自覚を持ち、地域を支え、また支えられているのだから、地域に目を向けて貢献活動を積極的に行っていく事が必要だし、市民側は情報を得る事ができれば、企業の活動や地域での役割についても興味を持つことができ、そうすれば自分達の在り方も見えてくると思います。相互に意見を言い合い、信頼関係を築き上げることができれば、市民側も企業側にとってもメリットが生まれてきます。ぜひ同友会の会員企業で社会貢献へのリーダーシップを発揮されることを期待しています。