●第10分科会
横請けネットワークの展開で、自立型企業をめざし〜三河支部・金属部会の活動より〜
横請けネットワークとは?
原芳伸氏(株)三原工業・社長
(株)三原工業 創業:1967年 資本金:1000万円 年商:2億円 社員数:13名 業種:工作機械を使って切削加工。試作から量産まで対応
私達が三河支部での金属部会の活動を通して横請けネットワークの展開と自立型企業をどのように構築しているのかというお話をさせていただきます。
改革して生き残るか座って死を待つか
銀行が国の支援をうけ、日産自動車が大幅な人員整理に追い込まれるなど、日本経済は構造的な変革が求められています。その中で厳しい競争により仕事の流れが変化し、従来の親会社、子会社の関係が終わっただけはなく、系列化もなくなっています。競争から共存、単独所有・単独設備投資から共同使用へ、縦受注から横受注へなどが、金属部会設立のキーワードになっています。金属部会では、ますます経営に対する理念や志が重要になってきていると考え、自社を変革して生き残るか、座して死を待つか、下請けから横請への自立型企業への変革なしにはありえないという結論を出しました。経営者の追求することも、「創る、探す」ことから「進化、深化、真価」の3Sに変わっていくと考えます。いずれにしても、必ず生き残ることができる企業を創ることだと考えています。

金属部会がなぜ生まれたか
同友会には人・物・金・情報等が山のようにありますが、案外知りません。メンバーの企業を訪問することで、そこの企業の社員(技術者・技術力)や設備などが理解でき、また信頼できる土壌と互いの経営資源を融通させれることに気づきました。金属部会の良さを整理すると以下の4点に要約できると思います。
(1)お客様のニーズに応えやすくなる。多くの企業が集まることにより仕事の幅が広がり、質・価格・時間・サービス・情報に対応できる。
(2)会社(設備)と顔(社長)とが一致し、さらに企業訪問が充実し交流が深まる。
(3)地域との情報交換、あるいは関連企業の情報が得やすなる。
(4)自社の悩みや課題の解決がしやすくなる。
その根底に損得ではなく、相互の信頼関係を作り上げることを第一であり、利益はその後についてくると考えています。
14社の設備が後ろに〜部会ではホームページを作成して〜
伏屋勇氏大久保金属工業(株)・社長
大久保金型工業(株) 創業:1968年 資本金:1000万円 年商:3.4億円 社員数:22名 業種:ダイカスト用金型設計製作
金属部会では現在ホームページをたちあげており、その教訓をお話ししたいと思います。あたかも、インターネット社会が、ビジネスの成功への道であるかのごとく幻想があります。しかしながら、中小企業、とりわけ私たち製造業にとってインターネットは救世主となりうるものでしょうか。答は「否」だと考えられます。広報手段としての価値は無限大ですが、予想外の注文にどのように応じられるか?あるいは、見も知らない人からの注文に材料を仕入れ、加工を始めることに、不安を感じないでしょうか?
経営者の補佐役
情報量の多さ・受注量に対する受け皿の大きさ・画一的な物を大量に安く作る能力からいって、私達は大資本にはかなうべくもありません。私達にできるのは量が少なく、大企業では効率が悪くて手を出さない隙間や、細かな客の注文に合わせて作るオーダーメイドではではないでしょうか。そんな客先の要求を直に受け入れる形態こそが、私達の生きる道です。Eメールやホームページを代表とするインターネットは、忙しい中小企業経営者の補佐としての役目を担うのに最適だといえます。しかし人と人との信頼関係こそがネットワークの要であり、それをなくしては砂上の楼閣でしかありません。
14社の現場を披露
そういった考えを持つ私が金属部会のホームページを作ったのは、第一は、まったくの新規の客先を得るためというより、既存の客先に見てもらうためです。製造業は装置産業と言うべき業種であり、客先はその設備をみてどんな仕事ができるのか、判断するからです。一社の設備だけではできる仕事はおのずと決まってしまいます。だからといって滅多に使わないような機械を購入することも考えものです。一社だけの設備だけではなく、金属部会14社の設備が後に控えていることを知っていただき、新しい分野の仕事を出してもらうことが、作成したねらいです。将来的にはホームページを通しての新規客の引きあいやEメールによる受発注へとつなげていくのが夢ですが、今は基礎固めの段階です。
【文責事務局・服部】