愛知県労働組合総連合と懇談
賃上げの原資がない
愛知県労働組合総連合(以下、愛労連)の民間部会との懇談会が行われ、同友会から12名と、愛労連からは9名が参加しました。今回は、改めて中小企業の置かれている現状について、双方から確認しました。
愛知同友会の会員構成は、社員数十名未満の企業が6割を占めています。愛労連との懇談会を経て、可処分所得や社員が安心して働ける職場づくりについて、経営者の責任として考える機会も増えましたが、一方で社員を雇用していない経営者には、なかなか我が事として捉えられない部分もあります。
昨年12月に中日新聞と合同で行ったアンケート(571社が回答、右のグラフ参照)では、アベノミクスの恩恵は効果を実感できず、大企業との格差は広がっているとの見方が示されました。賃上げに関しても、消費税8%の引き上げ分をカバーできておらず、現状から見ても厳しいとの回答がありました。
しかし、社員を守り抜くこと、より豊かな生活を目指すことを諦めてしまえば、経営者の責任を果たしているとは言えません。どのような環境にあっても同友会会員は社員と向き合い、解決の糸口を見つけられるような関係を築いていく必要があります。
負の連鎖が表面化
愛労連側からは、「賃金」「雇用の流動化」「人手不足」等の労働者を取り巻く現状が挙げられ、どれも根深い問題であると認識できました。学校を卒業しても働き口のない若者は多く、結婚ができなかったり、奨学金の返済もできないので、所得格差が次世代まで広がり、負の連鎖を招いていることが明らかです。
労働組合側も組合員の個別の家庭や生活にまでは踏み込んで考えられておらず、実態はさらに深刻といえます。
最後に同友会側から、次回10回目の懇談会を開催するにあたって、経営者の給料を切り口として賃金や雇用問題に迫れるものにしたいとの要望が出されました。「どんな世の中にしたいのか、労使双方で歩み寄る一致点を確認していきたい」とのまとめがなされました。