ビジョンを持ち強い農業へ ~黒字経営の計画と戦略
大﨑 秀樹氏 (株)萬秀フルーツ
主力作物を転換
東三河地域の農業は、愛知県全体の農業出荷額の47%を占めています。東三河支部では農業特有の経営環境を話し合う場として2012年に農業研究会を立ち上げ、毎年1月にオープン例会を開催しています。3年目となる今年度は、知多半島の美浜町でグレープフルーツを生産する大﨑秀樹氏を報告者に迎え、地域の営農者ら21名を含む総勢54名が参加しました。
大﨑氏はもともとJA専属のミカン農家でしたが、苗木の病気が原因で収穫が年々減少し、主力作物の転換を余儀なくされます。そんな中で、グレープフルーツ栽培へと転換を始めますが、その選択には確固たる理由と裏付けがありました。それは、輸入グレープフルーツと比較した際の国産の安全性であったり、ミカンと比較した際の収穫量であったりと、しっかりとした根拠に基づいた選択でした。
工夫を重ねる販売戦略
販売に当たっても戦略を持って臨み、ホームページで果実の生育状況をリアルタイムでレポートしたり、話題を小出しにしてマスコミに取り上げてもらったりするなど、工夫を重ねています。特に「いくら良いものを作っても、一度食べてもらわないとその良さが分からないようでは、リピーターしか顧客にできない」という考え方に、目から鱗が落ちる思いでした。
しっかりとした理念・方針・計画を持って取り組んでいる大﨑氏は、「同友会の経営指針講座で学んだことをそのまま実行しているだけ」と言います。大﨑氏の報告した考え方は、業種に関わらず全ての会社の経営に当てはまります。改めて経営指針の大切さに気付かされた例会でした。