「事業承継」に対する認識を新たに
企業が永続的に発展するためには必ず代替わりが発生し、その際、経営資源を承継します。それが事業承継です。金融委員会では、「事業承継はわが社の経営課題」という考え方を、「中小企業が存続するための大問題である事業承継」に変えていかなくてはならないと考え、このテーマに長期的に取り組んでいきます。
同友会活動を通じて、形のない理念や共育、情報の伝え方を学びますが、これは「継承」であり属人的です。しかし、形あるモノ・カネの「承継」を確定させなければ、理念は絵に描いた餅になり下がります。私たち経営者は長期的ビジョンに立って、事業承継が経営上の大問題と認識することが大切です。
問題点をあぶり出す
自社株式・売上・在庫・負債・資産などの経営数字で表せるものをしっかり受け継がせることが重要ですが、実際の現場を知らない人たちが作った矛盾だらけの仕組みや法制度のもとで事業承継をせざるを得ない現状があります。具体的には、容易に換金できない生産財の中小企業の株式を、消費財や他の個人資産と同一視していることで、円滑な事業承継を阻害しているといえるのです。
中小企業庁は昨年12月に事業承継ガイドラインを出しましたが、事業承継の課題を知ってもらうことが目的と書いてあります。つまり、今の法制度での事業承継を説明するものにすぎず、事業承継そのものの問題点を解決しようという趣旨ではありません。
金融委員会では事業承継の問題点をあぶり出してメスを入れ、金融アセスメント法制定運動で起こしたムーブメントのように、同友会運動によって事業承継における経営環境を改善できると確信しています。
イスクラアセットプランニング(有) 二村 佐斗史