経営者の生き方
~社員と真摯に向き合う
加藤 明彦氏 エイベックス(株)
原因は自分自身に
愛知同友会会長を務める加藤明彦氏(エイベックス代表取締役会長)を報告者に迎え、100名の参加で東尾張支部経営者の集いが開催されました。
加藤氏は2代目として入社し、社員50名体制を目指しました。しかし、社員数は20~30名を行き来する不安定な状態が続きます。加藤氏は早朝から夜中まで休まず仕事に取り組みましたが、社員との関係も上手くいきませんでした。
そんな時に同友会に入会し、人を生かす経営について考える中で、原因が社員ではなく、自分自身にあったことに気づきます。そして、会社発展の出発点は「社員との信頼関係」を築くことだと考え、人を生かす経営に取り組み始めました。
社員はもっとも信頼できるパートナー
リーマンショックによる経営危機があったからこそ、経営者としての覚悟を決めることができたと加藤氏は振り返ります。長期ビジョンを定め、会社として目指す方向が決まっていたので、社内のことは社員に任せ、自身は資金確保のために銀行回りをしました。
困難に立ち向かう中で、社員との強い信頼関係が生まれ、経営者として「最大の資源はヒト」であると気づきます。そして、社員が潜在能力を発揮することで、やりがい・生きがいを感じ「豊かな人生」が送れる風土づくりに取り組んでいます。
人材の育成が財産となる
人間は年を取るので、今いる社員が同じ仕事をいつまでも続けることはできません。エイベックスでは、社員一人ひとりの成長が会社の発展につながるという考えの下で、社員が知識や技能を共有する習慣が根付きました。
外部研修に出た社員は社内で先生役をするために復習をするので、先生役の社員は更に成長することができます。社員を育てようとするのではなく、育つ状態の風土をつくることが経営者の責任であると加藤氏は語ります。
最後に、学んだつもり、実践したつもりになってしまわないように、努力をして「学び」を深めてほしいと述べ、報告を締めくくりました。