活動報告

金融アセスだより(第146回)

AIによる融資審査

今回、あいち経営フォーラム第3分科会に参加し、地域金融機関とリレーションシップバンキングについて学びました。

報告者の西尾信用金庫の近藤実理事長は、「とにかく西尾を元気にしなけりゃいけない」という考えのもと様々な施策を行っています。愛知県は信用金庫のシェアが預金、貸出金ともに全国の倍以上、特に三河地域では7つの信金が切磋琢磨して地域経済を支えているとのことでした。

今後、大手金融機関ではAI融資が行われることへの懸念がある一方、「私たちはプロの金貸しである。AIでなく人を見て判断しろ」と支店長会議で話すさまは、生え抜きのバンカーから理事長に就任した近藤氏らしい理念のこもった言葉だと感じました。

特筆すべきは独自の「長期事業サポートローン」です。融資期間5年以上15年以内の期日一括返済で、期間中は金利のみを支払い返済資金額を内部留保し、期限が来たら一括返済、もしくは借り換えというもの。事業承継の際に、後継者が自己資本が低く、借入額を考えると承継を悩み、諦めてしまうことを少しでもなくそうと、「長く寄り添い支えるぞ」との信念が込められた商品でした。

金融機関もリスクをとる代わりに、企業側も四半期ごとの試算表の提出や少し高めの金利を背負うというものですが、今後に悩みを抱いている若手後継者には魅力的な気がします。

信頼関係を築く

今回、金融機関側の中小企業への携わり方や欲しい情報等が確認できました。

金融の課題に直面した際に慌てて金融機関に飛び込み一方的に訴えるのではなく、日頃から事業への取り組みを報告し、経営指針を共有し、長期ビジョンをもった付き合いをすること。それらの信頼をもとによく相談を行い、経営課題解決に繋げていくのがリレーションシップバンキングではないかと思いました。

ヤマヤマ(株)  秋山 英利