活動報告

私たちが目指す「働き方」とは?~イキイキと働ける企業づくり(5)

働き方改革で見えてきた方向性

磯村 太郎  共同求人委員長、サン樹脂(株)代表取締役

磯村 太郎氏

仕事と生活の調和へ

当社の「働き方改革」は、2012年に策定した2020年ビジョンに「ワークライフバランスのとれた会社」という一節が入ったことから始まりました。社員との間で、理念にある「かけがえのない個人の命が輝く」ことは、会社だけでなくプライベートにおいても実現したいという合意が取れたからでした。

それまでは、お客様の要望と自社の実力のギャップを、「残業」という時間で担保していたのです。翌年から「金曜日ノー残業デー」と有給取得の推進が始まりました。

随分進んだように感じていましたが、ある年に多くの退職者が出てしまいます。理由は仕事の教え方でした。当社の仕事は個人の力量に依存する要素が多く、1つの仕事を最初から最後までやり遂げるスタイルでした。それが災いし、1人でできない仕事を抱え込み、孤独を感じて退職に繋がったのです。緊急措置として、お客様の注文を断ってでも残業を減らし、その後、育成について社員と議論を重ね、試行錯誤を経て現在の育成体系を構築しました。

互いの協力が不可欠

今年度は「勤務間インターバル制度」を導入しました。その直後に、ある社員が1つの案件で失敗を連発し、納期遅延になりかけました。その社員は私に「インターバルを解除して、明日の朝早く出社させてほしい。私のミスでお客様に迷惑をかけることは本意ではない」と訴えてきました。

私は「仲間に引き継ぐのが君の仕事だ」と伝えました。彼女は意外な処置に驚き、一方で私も、引き継ぐことに気付かない状況にまで追いやってしまったことに衝撃を受けました。結果的に、その案件は仲間が引き継ぎ納入できましたが、この制度は互いの助け合いが無ければ運用できないと気付くことができました。

「働き方改革」のためには互いの関わり合いが必須の条件となります。これは「連帯」の精神に繋がるものです。今年、当社は年間テーマに「チームワークでいこう」を掲げています。