活動報告

私たちが目指す「働き方」とは? ~イキイキと働ける企業づくり(10)

働き方改革は社風改革なり

明石 耕作
共育委員長
(株)トヨコン代表取締役

明石 耕作氏

経営陣の本気度

弊社の「働き方改革」は、2014年8月の法人設立50周年時のグループ3社統合に始まりました。しかし、「お客様の工場の中にある梱包会社」、「営業手当というみなし残業働かせ放題の販売会社」と「納期に追われるプログラム設計会社」の3社を1法人にすることは、想定以上に大変でした。

統合後も顧客都合、従来の慣習、技術の習熟度不足等の理由で、残業時間が減らずにいました。そこで、情報を早く入手する仕組みをお客様に提案して業務時間を減らすほか、みなし残業制度の見直しと技術者の応援体制の構築に取り組みました。しかし、1つ1つ問題をつぶしていったものの、効果は上がりません。経営陣の本気度の欠如が根本的な原因と考え、私たちから直接顧客へ提案したり、社内責任者へ応援体制の必要性を真剣に伝えたりしたところ、社員に本気度が伝わり始め、徐々に残業時間が減っていきました。

理念共感型の採用

同時進行で、新卒採用活動の見直しも行いました。従来は、縁故も含めて入社してくれる可能性のある人を採用していましたが、社員が定着しません。そこで、リーマンショックが落ち着いた時期に、「定着率が高い採用活動」を目指して「社風(理念)共感型」採用に切り替えて採用活動を再開したのです。

具体的には、最初に学生と相対する時に仕事の話は極力せず、理念を通じて社長がつくりたい社風の話のみをすることにしました。そこに共感して入社を希望する人を採用すると、定着率が驚くほど高まりました。もちろん、今でも皆が不満なく働いているわけではないのですが、そこには社内の人間がいろいろと関わることで離職を防止してくれています。

思い返すと、統合前の販売会社は売上・利益至上主義で、成績を上げた者とそうでない者との扱いが違い、皆が自己保身を考える暗い雰囲気の会社でした。統合後は、時間をかけて「結果よりプロセス重視」であることや、何を言っても大丈夫だという社風づくりを進めたのです。その結果、社員が仲間のことを支える風土が生まれつつあり、離職率の低減に繋がってきたと考えています。

経営者の仕事は、社員が成長できる環境や風土をいかに整備できるかに懸かっていますので、今後も同友会での活動を通して人を生かす経営を学んで参ります。