活動報告

私たちが目指す「働き方」とは? ~イキイキと働ける企業づくり(6)

やりがい・生きがいを経営者がつくる

鈴木 良博 労務労働委員長
オネストン(株)代表取締役

鈴木 良博氏

働き続ける社員のモデルをつくる

当社の「働き方改革」は、私が事業承継した2012年がターニングポイントだったといえます。

当社はプレス金型部品の卸売及び製造をしていますが、正社員90名のうち4割弱を女性社員で占めています。1990年代後半より、営業スキルに男女の差はないと考え、女性も営業に就くようになりました。近年ではアメリカの子会社でも出向赴任した女性の営業社員が活躍しています。

また、今では当たり前のように産休・育休制度を利用して社員たちは長く勤務していますが、私が社長になる前は利用実績がありませんでした。そのため制度を利用して復帰する社員には、時短勤務や育児休業の延長、勤務先や職種の変更等、本人の希望に対応することで復職しやすい環境づくりに注力したのです。

これにより「働き続ける社員モデル」を増やすとともに、後に入社した社員たちも安心して育児休業制度を利用できるようになり、今後の社員雇用への強みをアピールすることに繋がっていると感じています。

多様化する働き方を理解し、尊重

今年4月より「働き方改革関連法」が施行され、年次有給休暇の年5日の確実な取得や、時間外労働の上限規制の導入など、中小企業も順次、法令順守が求められています。その一方、少子高齢化の影響で、新卒・中途ともに採用難は続き、「人手不足」は深刻さが増している状況です。

単に社員の不足を補充するために給与や休日の待遇面、福利厚生を充実させるのではなく、やりがい・生きがいを感じられる仕事を経営者が作ることが求められます。社員一人ひとりのライフワークに合わせ、多様化する働き方を理解・尊重し、経営者が寄り添い、サポートすることで、『社員が安心して長く働き続ける企業』に近づくのではないでしょうか。

経営者と社員では責任や立場が違いますが、1人の人間として対等に向き合い、お互いを認め合うことが「人を生かす経営」の第一歩となることを忘れてはなりません。