産学アカデミー97 「カオス(混沌)の時代に未来を学ぶ」
2月16日(日)日本福祉大学・半田キャンパス
青同連協
できる!産学協同 日本福祉大学で「産学アカデミー97」を開校
一昨年十一月の「オータムセミナー95」に引き続き、本年も、青同連協と日本福祉
大学経済学部の共催で「産学アカデミー97」が、二月十六日に開校されました。
これは学問による体系的な見識と、企業経営の実践からの考え方を相互交流し、大き
な時代の変革期である現在を、経営者と学者の方々がいっしょにとらえ直そうとした
企画です。
一昨年に開校したばかりの半田キャンパスを利用し、会員百五十一名が日曜日の朝九
時半から八つのゼミナールに分かれ、一時学生にもどった気分で、先生方と熱心な意
見交換を行いました。
ゼミのテーマとしては「規制緩和」「マルチメディア」「産業廃棄物問題」といった
今日的課題から、「街づくりと中小企業」「中小企業ネットワーク」「経営と心理学」
といったバラエティに富んだものとなりました。
プロジェクトからひとこと
今回の「産学アカデミー」は、前回九五年秋の「オータムセミナー」に続いて、日
本福祉大学経済学部と青同連協の共催で、大学のキャンパスを利用して行なわれま
した。
大学の専門的知識と、経営の現場の知恵を集めた「産学協同」の一環で、経営者と
して更なる飛躍と質の向上をめざし開催されました。
プロジェクトは、ゼミ内容を充実させるべく、先生方との打ち合せを重ねました。
反省する点は多数ありますが、この企画を継続していけば、青同のみならず、全会
員によい勉強の機会が与えられるものと自負しています。
最後に。経営者は何歳になっても学ぶ姿勢が大事だ、とあらためて思いました。
柴田ハム食品(株)柴田 富成
第一ゼミ 規制緩和と経営改善 森 靖雄先生
第一ゼミのテーマは「規制緩和と経営改善」で、講師の森先生とは事前に三度の打
ち合わせを行い、当日のゼミにのぞみました。
午前中は規制緩和の是非をめぐってのディベート。午後からは講義を中心に、出席
者全員で中小企業の経営改善について考えました。
ディベートとは対抗的討論法で、テーマに対して賛成と反対の組に分かれ相手を言
い負かす(説得する)ように討論する技法です。
今回の討論テーマは「規制緩和は積極的に進めるべきである」で、先生より前もっ
ていただいた資料に発言者は目を通しており、十分研究された意見が多く出されま
した。
(有)中島製作所 中島 正彦
第二ゼミ 社会の変化と街づくりの課題 佐々木 葉先生
第二ゼミでは、次の三つのテーマについて先生の講義を聞いて深めました。
(1)社会の変化と街づくり
(2)景観デザインの目的と方法
(3)近年の街づくりのテーマ
(1)では江戸時代から現代に至るまで、その時代の社会的背景と、街づくりに取
り組む人々の意識が、景観の変遷といかに絡み合っているか、具体的な実例もあげ
て、佐々木先生は述べられました。
(2)は環境デザインの観点、景観デザインの目的、景観デザインの手法という三
点について、(3)については「参加の街づくり」のテーマについて、ディスカッ
ション形式で進め、商店街の活性化への取り組み方について、全員で意見交換をし
ました。
「私たちが私たちの街をつくる」という意識を持てるようになった点で、有意義な
ゼミでした。
福永事務所 福永 正光
第三ゼミ インターネットの活用法 後藤 順久先生
第三ゼミは今話題の「インターネットの活用法」と言うことで、ワープロ程度なら
という初心者を対象としたゼミでした。
現在、日本のインターネット人口は二百万〜三百万人と言われ、西暦二千年には二
千万〜三千万人にもなると言われていますが、アメリカに比べ、まだビジネス上で
の成功はあまりありません。情報化の成功例としてコンビニエンス・ストアのセブ
ンイレブンがあげられました。
情報化に応じた企業組織では、タテ方向から徐々に水平に、しかも同時に流れ、意
志決定の時間の短縮によるメリットも生まれます。
今回、実際に各ホームページを見ましたが、非常にカラフルで、考え抜かれた作品
が多かったような気がします。 でもまだ自分達でホームページを作成して、仕事
に使うのは難しい気がしました。
ノムラ自動車(株)野村 みちる
第四ゼミ イントラネットの活用 尾上 えり子先生
「イントラネットの活用」と題された第四ゼミでは、情報処理演習室の恵まれた環
境の中、パソコンでインターネットを体験学習しました。
色々な使い方と操作の仕方を学ぶにつれ、ネットワークの多種多様な面白さにひか
れ、パソコン画面に思わず熱中してしまいました。
最後に行なわれたネットワーク・ミーティングでは、数多くの意見や感想が画面上
に色鮮やかに表現され、活発な討論がかわされました。
現在、企業内にパソコンが普及し、好むと好まざるにかかわらず直接操作する事も
多くなりました。その一つとしてイントラネットも加えていくと楽しく、新たな活
用ができるかもしれません。
(有)さつき商会 上村 龍市
第五ゼミ 21世紀型企業の経営戦略 関口 和雄先生
第五ゼミでは「ヤマト運輸がなぜ短期間に急成長できたのか」をテーマに、ケース
スタディで学びあいました。
ディスカッションで出された経営戦略と推進プロセスは以下の通りでした。
(1)業界では「非常識」である事でも行うべきだ、
(2)ヤマト運輸はただの偶然の成功で、ただ一つの成功例、
(3)お客様第一主義での営業、
(4)社長の決断・実行力の必要性、
(5)お客と会社とのマッチング、
(6)会社での経費の削減、
(7)薄利多売型への会社の対応、
(8)成功の保障が少なくとも設備投資は必要、
など具体的な資料にもとづいて、企業発展への秘訣を学ぶことができました。
斎藤建設 斎藤 浩司
第六ゼミ 産業廃棄物最前線 萩原 喜之先生
第六ゼミは「中部リサイクル運動市民の会」の代表の萩原喜之氏を講師に、午前中
は産業廃棄物の現状についてのお話が、午後は参加者と萩原先生のディスカッショ
ン形式でゼミが進行しました。
参加者の中では四名の人が産廃の仕事をやっており、他の参加者との意見交換が印
象的でした。それは、業者以外の人はあまりにも産廃に対して無知であり、知らな
いうちに不法投棄などの法律違反をしているということでした。
もっと勉強して「産廃を負担としてでなく、ビジネスチャンスとしてとらえていけ
たらな」と思いました。
ゼミの最後でそんな糸口が見えかけたのですが、時間になり、また違った場でこの
続きができ、このゼミがきっかけで新しい事業が立ち上がれば最高だ、と思いまし
た。
富士印刷(株) 崎山 健二
第七ゼミ 中小企業ネットワーク 丸山 優先生
アメリカのシリコンバレー、サードイタリアのネットワーク、そして日本の系列と、
大きく三つに分けたネットワークの特徴について、まず講義して頂きました。
知識(価値)は時間がたつにつれ低くなっていきます。そこで、(1)今までの学
習していたものを捨てる、(2)別のものを学習する。この二つを合わせて新しい
価値をつくる。
「ネットワークとは単につながっているものではなく、学び合う組織のつながり、
学習組織としてのネットワークです」と、丸山先生は述べられます。
午後からは、それぞれの業種でのネットワークについてディスカッションを行いま
した。ネットワークをうまく活用するしないでは企業経営に大きな差が生まれる。
また同友会は「ネットワーク形成の場であり、知識の宝庫だ」と思いました。
(株)富士金属工業所 橋本 修一
第八ゼミ 経営と心理学 森本 正昭先生
午前中は、マーケティングの心理(精神物理学)についての講義が行なわれました。
(1)感覚の法則と値引きの心理、(2)心理的財布、(3)衝動購買とプラスワ
ン戦略、(4)広告の心理の順に解説されました。
心理的財布においては、個人の価値観、ライフスタイルにより色々な財布の大きさ
があり、ライフスタイルに変化がないと新しい業態は生まれないと述べられました。
午前中のまとめとして、消費を決定する要因の中に、心理的要因、社会的促進要因
が働く事は明らかであると説明されました。そして午後は、ヒューマン・マネジメ
ントと組織の心理学について説明がなされました。
最後に、配布資料にあったバーンアウト(燃え尽き症候群)のチェックリストを出
席者全員で行ってみましたが、「バーンアウト徴候が見られた人もあった」と言う
声もちらほら出ました。
シバタプロテック 柴田 秀男