私と同友会会員の声より
35年の会暦の中で
江崎 信雄 轄]崎本店(愛知同友会顧問)
代行者育成講座で経営のイロハを
一九六二年に、愛知同友会が名古屋で産声をあげた時、私はまだ三十歳でした。創立したばかりなのに、高邁な目的を掲げており、スローガンだおれになるのではと思い、会合にまったく顔を出しませんでした。
ところが、会報で「経営代行者育成講座」の記事を読んでいると、「『私は朝も誰よりも早く出社し、掃除をしたり、雑巾で机を拭いたりしなければ』と思っていたが、『これは本来、経営者のやるべき仕事ではない』と教えられて、がくぜんとした」という趣旨で、二村一郎氏(現愛知同友会相談役)の談話が出ていました。
これはこれは、と思って第二期の講座に出たのが、私が同友会に深くかかわるきっかけでした。三カ月間、週二回、夜三時間、みっちり講師の伊藤金光先生に絞られました。企業経営の素晴らしさと、経営者のやりがいについて始めて身につまされ、会活動にも参加始めました。
互いの弱点も出しあい
しばらくして会員も多くなり、地区ごとに分かれ、西区、中村区の方々と一緒に会合が開かれるようになりました。当時の会合である方が尻ポケットから普通預金の通帳を出して、「税務署にこれを見つかったら最後だから、調査に来たら逃げ出して、晩まで帰ってこない」と目を真ん丸くして主張されたのには、吹き出してしまいました。
こんな呑気で、和気あいあいとした地区会の積み重ねによって、お互いに親しさを増していきました。異業種の経営者の集まりで直接に利害にかかわりない気楽さの中で、お互いの弱点もさらけ出しあい、助言を受け、経営者として成長でき、会活動に自信を持ちました。
多くの経営者から感銘を受けて
遠山昌夫氏(現愛知同友会顧問)の経営理念は抜群で、強い感銘を受けたり、当時の事務局長の仲野正氏(現中同協顧問)や、現在のゆたか福祉会や愛知同友会協同組合を創立された今井保氏(故人)には、強い磁力を感じました。
また中同協の創設期には庄野慎一郎氏(現中同協顧問)や、田山謙堂氏(現中同協顧問)に接することができ、その人格に感服しました。
経営者の魅力は、要するに「人柄だ」とつくづく思いますし、磨いてくれるのが同友会だと思います。