第九回障全交・第一回実行委員会(6/4)より
同友会がなぜ?障害者問題に取り組むか 蓮見成男氏(中同協・事務局長)
企業の社会性とは他人への思いやり

「よい会社とは何か」を考える時、経営理念が確立されていること、社員が生きがいをもって働いていること、この二つは大事な基準です。そして経営理念には、社会性・人間性・科学性の三つが加味されていなければなりません。障害者雇用は、すぐに着手することは難しいかもしれませんが、企業の社会的責任として、経営理念を考える時、少なくとも意識しておくべきだと思います。社会性は、他人に対する思いやりとして発揮されますし、社員がお客様の立場に立ち、社員同志がお互いの立場に立って仕事をすることです。要するに、他人の立場で考えることができるか、教養を身につけられるかどうかなのです。
弱者を締め出す社会は脆い社会
社員が思いやりをもって仕事をするためには、経営者は、組織のリーダーとして、障害者や地球環境や教育など、社会人として考えるべき問題を深く認識し、たえず問題を投げかけていくことが大切です。「社会的に弱い立場の人をしめだす社会は脆い」と言われています。それを克服して豊かな社会をつくることは、中小企業の経営環境改善の課題や、障害者の抱える問題の解決と一体だと思います。同友会では、「豊かな社会とは障害者や高齢者を隔離するのではなく、一緒に暮らす社会」だと、過去の交流会でアピールを出しています。また、人間と組織のあり方にとって大事な「自主」、お互いの違いを認めて理解していく「民主」、あてにしあてにされる人間同士の関係を作る「連帯」、これらを障害者問題とからめ、発展させて考えていただきたいと思います。
地域住民からあてにされて〜会員企業の実例より〜
地域の人々が長期的に安心して暮らせる地域づくりを本格的に考えていかねばならない時代にきています。本当の意味で、地域に生きる中小企業が、お客様にすぐれた商品やサービスを提供している例を全国の会員企業から紹介します。北海道のある本屋さんでは、車椅子の少女が本屋に行けないというテレビを見て、車椅子でも利用しやすいよう店のレイアウトを変えました。すると、こんなにもと思えるほど車椅子のお客様が増えました。また、すぐ社員がかけつけられるよう来店時にカード型のベルを渡し、好評です。千葉県の介護用品販売店では、杖を売るうちに、一人一人のにぎりが違うことに気づきました。お客様を丁寧に見ていると,人工肛門を使っている人や介護者それぞれが大きな悩みを持っていることがわかり、悩みを安心して話せるコーナーもつくります。営業の社員もお客様のところで一時間も二時間も悩みを聞いてくるそうです。商品は三千六百種類を揃えますが、月に半分以上が一〜二個しか動かず、効率が悪いと指摘されます。しかし「介護用品の仕事はそういうものではない」と理念を掲げ頑張り、当初は同業者からも奇異の目で見られましたが、今では、役所や地域から信頼されています。これらは中小企業しかできない地域との関わりです。二十一世紀に向けて、こういう力を中小企業は発揮していくべきだと考えています。
障害者問題に触れる中で〜会員の参加感想から〜
以前に障害者問題全国交流会の見学分科会に参加した方の感想が、今でも私には忘れられません。「創業以来経営に十数年没頭して経営は軌道に乗った。しかし、大切な物を見失っているような気がしてならなかった。見学を通してそこに流れる暖かさを発見し、これこそが我が社にない文化だと気づいた」と。また「私達は、いわゆる質のよい人間だけを求めすぎていた気がする。社員同志もけ落とし合いをしがちな昨今。もっと人間一人一人の尊さと可能性を見直さなければ」というものです。障害者問題と接触のなかった方がこうしたことを学ばれるのです。また、毎回障害者の方が「ほどこしよりも働きたい」と切実に訴えてみえるのが印象的です。
社内での確執や反発もあったが…
雇用の際の社内での確執の問題も交流会で報告されています。障害者を実習生として受け入れる時に社員から「どうして雇用するのか?」「けがでもさせたら責任は?」「受け入れたら目標が達成できない」「社長だけがいいかっこうをする」と反発があり、これを説得し続け,採用します。半年が経ち、難色を示していた管理職も社員も相手の立場を考えられるようになり、社内にとてもいい土壌を創り出しているという報告でした。逆の場合もあります。雇用を社員が本気で受けとめ、社員や会社が変わっていき、逃げ腰だった社長がそこから学び、長い目でものごとを考えられるように変わった、というものです。
これらは大事なものを暗示しているように思います。愛知でも学べる交流会をぜひお願いします。
【文責事務局・岩附】
理事会報告
第3回理事会報告(7/14)
◆会場 愛知県勤労会館
◆参加 二四名/三四名
【討議事項】
議題(1)支部等の研究会への研究者派遣の助成措置
35周年を節目に、各支部や地区に構成される研究会について、研究財団より学者・研究者の派遣助成を行うことを承認。
議題(2)全県行事計画検討 全県行事計画について六名のメンバーで検討会を構成することを提案。
*支部長や委員長も必要に応じてメンバーに加わってはどうかとの意見あり。
◎メンバーについては後日発表し、検討会を発足する旨を承認。
議題(3)「地区会長交流会」の開催
◎ビジョンについて、地区会長を対象にした検討会議を行うことを承認。
スケジュールは改めて発表。
議題(4)会員増強 地区例会・支部行事に積極的にワンゲスト誘い、増強を推進する旨を確認。
議題(5)98同友会ビジョンの提案
○30周年で出されたビジョンから5年。「今後の10年先を見据えたビジョン」として、新たに提案。
○ビジョンの方向性が決まったら、具体的アクションプランを作成し、来年の総会に発表する。
〈ビジョンのポイント〉*21世紀に向けて発展する「自立型企業づくり」*地域(行政区)に対応した活動、組織づくり(理事の意見)・地域再編に伴って、より地域に根ざした活動ができるようになる。
・支部格差がでるがどうするか。地方事務所の設置も合わせて検討を。・産業構造をもっと分析し「こういった町づくり」「各々の地域あり方」像を具体的に持つことが必要。
◎今後、各組織で内容を討議することを確認。
【報告・承認事項】
(1)第1・四半期(6月末)収支が報告され,承認。
(2)金城学院大学からのインターンシップ受け入れは来年度に対応する。
(3)入退会者承認
●入会者一五名
●退会者六名
●現会員数二二○○名
【文責事務局・福島】