「異業種交流成功のステップ〜人脈の広さと深さがネットワークのポイント」

若原誠一・若原国際特許事務所(技術開発委員長)
昨年十一月の東京大田の視察報告、今年四月のフォーラム第十分科会、そして北中村地区例会での(株)高研の丹羽社長の報告を聞いて、異業種交流の進め方を次のようにまとめてみました。
(1)まずテーマと情熱
当然の事ですが、まず「このような商品を開発してみたい」「このようなユーザーのニーズに応えてみたい」という情熱とテーマがなければ商品開発はできません。 開発テーマは独立しているのではなく、相互に関連しあっていることが多いので、たくさん持っている方がよい結果を生むようです。テーマがない、または自社の商品に自信が持てないのであれば、地区や支部の例会で自分の悩みとして提示してはいかがでしょうか。
(2)相手を見つける
中小企業は一社だけでは限界があり、自社に足りない点を補ってくれる相手先企業を見つけなくてはなりません。そのためには同友会をどんどん利用すべきです。意外に同じ地区や支部に探している相手がいるかもしれませんし、事務局員も会員企業をよく知っていますし、相談するのも一案です。機会を利用して人と会ってネットワークをつくりましょう。
(3)信頼を築く
相手が見つかったら、いきなり商品開発に入らずに、勉強会をしたり、一緒にゴルフをしたりなど、交流を深めて信頼関係を築くことが必要です。商品開発を急いで、この段階をとばすと、後で「つけ」を払うかも知れません。この段階では相手と作ったグループがつぶれてもしょうがないぐらいの気持ちでいて、互いに束縛しないほうがよいでしょう。同じ地区・支部の気心が知れている人であれば、このような信頼関係が既に確立されていることもあります。より深くネットワークを築くことがポイントとなります。
(4)最低限のルールを
いよいよ製品開発に入る時には、これまでと違って最低限のルールが必要で、互いの束縛も必要となってきます。黒字の分配の仕方、赤字の負担の仕方、最低限の引き取り台数などをきちんと決めておく必要があります。この場合、公的補助金を利用したり、公的な研究機関を利用したり、そのための共同出資会社または共同組合を作ったりすることができます。異業種交流では、お互い助け合って発展していくものですが、推進していくには強力なリーダーシップが必要で、核となる人材がいなくてはなりません。しかし何をやるにしてもできるだけ全員にはかって審議する体制が必要です。