V.長期的視点に立ち経営に役立つ活動づくりを強化

三五年を経過し、愛知県下に二千社を越す中小企業が自主的に参加する任意団体は同友会の他にはありません。この中小企業団体が経済的にも政治的にもひもつきに成らず、同友会理念の実現を目指して今後の発展を考えるには、この間の活動改善で進めてきた活動展開に加え、長期的な視点に立って次のような活動強化が重要です。
(1)「国民や地域社会とともに」を実践する活動づくり地域社会には雇用を創出し、文化や消費生活、教育に貢献する中小企業に活躍して欲しいという期待があります。
同友会の支部活動は、地域社会とともにという視点で行政や経営者団体、専門家や公的機関など地域のネットワークを構成し、中小企業の生き残りをともに考えます。支部に地域問題を考える研究会を編成したり、周辺都市の地区で市民を巻き込む研究会を開催したり、長期的視点に立った支部活動では「政策提言の力」を身につけた同友会をめざします。
(2)「あいち経営フォーラム(全県研究集会)」を計画検討
三七回総会は厳しい経営環境の下で「参加する会員が自社の経営をどうするか、学びあえる総会」を目指して『あいち経営フォーラム(全県研究集会)』の同日開催を計画しました。今後のフォーラム運営について、理事会では「九八年の秋には行わない」ことを前提として、委員会や支部に編成する研究会の成果発表の場として今秋までに方向性を出すプロジェクトを構成します。将来の愛知同友会の運動の大きな流れを構成することになるだけに慎重審議が大切ですが、知恵を出し合って会員が学び合える運動づくりを目指します。
(3)会費を値上げせず、攻めの同友会づくりを
今年度の財政問題について第九回理事会は『新年度は会費値上げを行わず、一千万円の経費節減と、一千万円の会費積立金取崩によって予算編成する』としました。一九八八年に会費が値上げになった段階で「五年は持たせたい」とした現在の会費を経費節減努力によって十年間維持してきました。加えて四年前から年間の会員増強が目標通りに進まず、減勢を繰り返しており、順調な時期から見れば約三百名の会員数が不足(二千五百名)している状況にあります。企業経営も同じですが、売上げが伸びず、家賃も人件費も、消費税までもが上昇する環境の中で経営が成り立つ訳がありません。会費の値上げは行わず、一時的には各部門が苦しみを分け合うことになりますが、経営者団体である同友会は今日の困難を前向きに『会員増強でハネかえす』という攻めの同友会づくりを展開しましょう。増強目標三六四名を完全達成しましょう。
(4)役員任期を二年にし、安定した活動づくりをめざします
会規約(第九条)「役員任期」の改正について、来年の定時総会から実施することにします。毎年の総会で役員が交替し、運動の蓄積ができない状況を改めることが大きな目的ですが、「支部幹事」として参加する地区会長については通算で二年という経過措置を構じます。安定して発展する同友会運動を展望して、役員任期二年の早期実施に会員・役員の皆さんのご協力をお願いします。
(5)事務局活動の強化充実
活動改善の最終章を構成するのが事務局活動の改善になります。事務局の活動改善を模索する中、本年度は局員の仕事を見直して同友会運動の推進者としての専門能力を高め、活動の強化充実をはかります。従来、組織活動を中心に展開してきた事務局は支部活動の強化に並行して政策立案能力を高める等の新しい機能強化をめざします。なお、経費削減により、会議室の一部を返還することになりますが、四階の資料室を改善することによって、従来の会議室スペースを確保します。
(6)同友会が産みだした協同組合、研究者との関係を広げる研究財団、ガソリンの共同購入、コンピュータ共同利用、高速道路の料金後納利用等、同友会活動を通じて産まれた協同事業は、昨年の総会で「中部同友会協同組合」に組織変更し、中日本各県の参加会員も広がり、新たな事業化のチャンスを広げています。

また、研究財団(任意団体)は昨年も大田視察に取り組み、三五周年の出版事業に協力頂きました。今後も会外の学者や研究者の参加を広げ「中小企業のための戦略研究」に当たります。