活動報告

合同入社式 記念講演(4月1日)

無限の可能性を開花させ
悔いのない豊かな人生を送ろう

~生きること・学ぶこと・働くこと

加藤 明彦氏  エイベックス(株)

4月1日に開催された合同入社式の記念講演の概要をお知らせします。

「やりがい・生きがいを持って、豊かな人生を」とエールを贈る

「やりがい・生きがいを持って、豊かな人生を」とエールを贈る

《今の自分は『幸せ』と言えますか?》

働くとは生きる目的

中小企業家同友会とは、「人を大切にする企業とは何か」「社員一人一人の能力を発揮させるには」「社員に豊かな人生を送ってもらうためには」といった課題をあげて、経営者同士で話し合い、勉強している団体です。ですから、同友会には経営者という地位にあぐらをかいている社長は一人もいません。「人を大切にしている企業」に就職できたことに誇りと喜びを感じてください。

ところで、皆さんの働く目的は何ですか。「良い車に乗るため」「家を買うため」など、人によって様々な意見があるかと思います。それらも悪くありませんが、良い車や家を手に入れてしまったら、働く目的は無くなるのでしょうか。私はお金や物も大切ですが、生きている価値観を持ち、豊かな人生を過ごしたいと思っています。私にとって働く目的は、「生きがい」であり「生きる目的」そのものです。

学生と社会人の違い

社会に出たら、学生の頃のように毎日勉強しなくてもいいと考えている人がいるかもしれませんが、実際は、社会人になっても勉強することばかりです。なぜなら、「生きること・学ぶこと・働くこと」は繋がっているからです。

しかし、学生と社会人の学習には決定的な違いがあります。学生はお金を払って勉強しますが、社会に出たら会社から給料をもらいながら勉強します。学生と社会人では立場が全く逆なのです。会社から給料が支払われる以上、プロであることを自覚してください。

また、会社にとって入社3年目位までの社員は、給料に見合った企業の利益には貢献できていません。ですから新入社員の皆さんは、素直な心を持ちましょう。素直な心で、自分が会社から必要とされて採用されたという自覚を持つと、自然と感謝の心が生まれます。特に新入社員は、勤勉で、明るく、元気に、素直であることが求められます。

基礎を身につける

入社して3年は仕事を覚えることに精一杯だと思いますが、焦る必要はありません。まずは、任されたことに全力投球しましょう。新入社員は会社のことを知らなくて当たり前なので、出来ないことは出来ないと素直に言っていいのです。

今の仕事が、自分のやりたかった部署の仕事ではないということもあるかもしれません。しかし、新入社員は成長する基礎を身につけることが一番の課題です。そのためには、まずプロとしてやるべき仕事を確実にこなし、出来ることを増やしていってください。次第に周りもあなたの出来ることを認めてくれるようになり、自分や会社にとって大事な仕事がわかるようになってきます。

《どんな状態の時に『幸せ』を感じますか?》

問題は自分自身

同友会と出会う前は、私が会社のことをいちばん分かっていると思い込んでいて、社員に相談する振りはしても、話を聞いてはいませんでした。結果、社員はついて来ず、その原因は社員にあると思っていましたし、外部研修などにも社員を出しましたが、何も変わりませんでした。

やがて、同友会で多くの経営者と語り合う中で、問題は社員ではなく、自分自身にあることに気づきました。そして、私だけが会社の原動力となり社員を引っ張る「機関車型経営」から、社員一人一人が原動力となり能力を発揮する「電車型経営」にシフトしました。自分だけが正しいという考えも改めました。

すると、わかり合えなかった社員の考えが理解できるようになり、社員が助けてくれるようにもなりました。その時、社員は信頼できるパートナーであり、経営者は社員の人生を豊かにさせる責任があるのだと痛感しました。

企業は人づくりである

企業として継続・発展するためには、人として豊かな人生を送ることができ、人を育てるのではなく、育つ状態の風土をつくることが重要です。例えばわが社では、「自分が成長するために学びたい研修は何か」というアンケートを取り、その意見を反映したり、社内で家族会を開催して社員やパートが働く姿を子供に見せたりしています。

これは、子供の意識の変化や、社員の仕事への自信に繋がり、親子双方にメリットがあります。良い家庭があった上ではじめて良い仕事ができると言え、社員の家庭意識を高めるために有効なのです。また、社員が立候補して役職選択できるようにするなど、納得して仕事ができる環境を整えています。

無限の可能性が

自分が今幸せだと思っているかどうかで、人間の行動は大きく変わります。その人の人生は仕事への考え方によって全く別のものとなります。こんな話があります。

レンガを積む仕事をしている人に、何の仕事をしているか尋ねたところ、「レンガを積んでいます」「壁を作っています」「教会を建てています」「教会を建て、そこに集まる地域の人々を豊かにしています」というそれぞれの答えが返ってきました。レンガ積みという仕事1つをとってみても、人によってこれだけ捉え方が違います。どんな仕事でも会社の役に立っており、それは社会貢献に繋がっているという考え方を持つことによって、単純な仕事も素晴らしいものとなるのです。

人間には無限の可能性があります。自分はこんなものだと決めつけないでください。成長は人それぞれで違います。適材適所でその能力が発揮されるのです。

新入社員の皆さんは、「私はこんな風に考えています」と臆せず話してみてください。社長との距離の近さが中小企業の良さです。ぜひ、経営者とコミュニケーションをとってください。

加藤氏の報告から、社会人としての決意を新たにする

加藤氏の報告から、社会人としての決意を新たにする

《その『幸せ』は、今後も続きますか?》

プラス思考で行動、豊かな人生を

仕事に慣れてきたら、今の仕事に疑問を持ちましょう。仕事は日々変わります。改善できることはないか考え、アイデアがあれば上司に相談してください。世の中には色々な要素があるため、相談なしに勝手に実行してはいけません。目標を定め、改善推進しましょう。そのころには、仕事が楽しくて仕方なくなっているはずです。

どこを目指すのかという目標設定があると、仕事はマンネリ化しません。夢を大きく持つことは大切ですが、まずは小さな目標からスタートし、1年ごとに達成するという意識で臨んでください。目標をクリアするごとにステップアップしていき、何年か後に振り返った時に自分の成長に気づき、大きな達成感が得られることでしょう。

世の中、思い通りにならないことも多々あります。大切なのは、くさらず、投げやりにならず、どこまでもあきらめずプラス思考で行動することです。チャンスを自ら捕まえ、『やりがい・生きがい・誇りと喜びのある豊かな人生』を創り上げてください。

【文責 事務局・三宅】