活動報告

人を生かす経営を学ぶ総合学習会(9月29日)

世界に認められる企業
~労働と人権を巡る世界的潮流を学ぶ

菅原 絵美氏  大阪経済法科大学准教授

2011年に国連で採択された「ビジネスと人権に関する指導原則」とは

国際社会が企業に求めるもの

報告する菅原絵美氏

2017年度「人を生かす経営を学ぶ総合学習会」の第1講「本当に認められる企業になるために~労働・人権を巡る世界的潮流は、企業に何を求めているか」が、40名の参加で開催されました。

報告者に菅原絵美氏(大阪経済法科大学・准教授、グローバルコンパクト研究センター・代表)を迎え、労働と人権を取り巻く世界的な認識の高まる現状と、そうした国際社会が企業に何を要請しているかを報告いただきました。

ビジネスと人権の問題は、1960年代から始まった先進国企業の新興国進出とともに先住民族・現地民への人権侵害が深刻化したことが端緒です。そうしたなか、国連は世界的な規範を設けるため試行錯誤を重ねてきました。

その結実が、2011年に国連で採択された「ビジネスと人権に関する指導原則」です。現在では同原則が労働と人権に対する国家の義務、企業の責任を定めた国際的枠組みとして、労働と人権を巡る世界的潮流の中心に位置しています。

権利の尊重は経営の重要課題

当然、日本の中小企業も例外ではありません。企業内はもとより、自社が属しているバリューチェーン(製造過程から最終消費者までつながる流れ)内における全ての企業活動において、たとえ意図せずとも人権侵害行為が行われていないかが問われます。

その意味で、企業活動と人、人権のつながりを、開発・調達・製造・投融資・雇用・人事・営業販売・広報・顧客対応など企業活動のあらゆる局面に及ぶことを認識し、企業活動に関わる全ての人々が持つ権利を尊重することを経営課題として捉えなければならない時代にあることが強調されました。

最後に愛知県中小企業研究財団の加藤洪太郎副理事長より、これからの時代、「人を生かす経営」の実践が企業存続の必要条件となっていることが改めて確認され、学習会のまとめとされました。