活動報告

人を生かす経営を学ぶ総合学習会(第5回)3月29日

地域社会とBCP ~地域の中小企業に期待されること

鈴木 誠氏  愛知大学地域政策学部・教授

中小企業の社会的役割に思いをはせる参加者

人と人をつなぐ

2017年度「人を生かす経営を学ぶ総合学習会」の最終講「地域社会とBCP~地域の中小企業に期待されること」が開催されました。

今回は愛知大学地域政策学部教授の鈴木誠氏に、災害の時代に地域で生きる中小企業に求められる備えや、地域社会から寄せられる期待についてお話しいただきました。

鈴木氏は、発災直後、発災から3日目、1週間、2週間から3カ月の時間軸に沿ってその時々の状況の特徴点を挙げつつ、通常では想定しきれない事象が現実に起こることを指摘。その上で、食事や入浴などの生活面で様々な制約を受けがちな災害時においても、人間らしい暮らしや人権を保障できる準備を心がける重要性が訴えられました。

こうした状況下で力を発揮するのが、避難所を利用者自らが運営できるようにする避難所運営委員会です。日頃からつながっていない人をつなげ、自治・配慮・支援・仕組み・課題解決を行える人のつながりとしていくことが求められます。鈴木氏は、その際に期待される存在が地域の中小企業家だと強調しました。

条例改正も視野に

また、個社のBCPだけでなく、個別企業のBCPを強化し補完する地域連携BCPの重要性が提起されました。

同友会の会員企業相互や、取引先企業、地域のコミュニティ組織や行政・消防・警察署との間で、災害時に備えた協議を進めること。さらに、中小企業振興基本条例を改正し、被災後の中小企業再建のための行政支援、地域社会再建のための起業支援などの地域連携BCP関連事項を盛り込み、中小企業振興会議で地域連携BCPを推進する必要性が強調されました。

最後に山田健雄経営指針推進本部長より、災害時に社員と企業を守り、地域社会を担える存在として自社を飛躍させるためにも経営指針の全社的実践に取り組もうとの呼びかけがなされ、学習会を締めくくりました。