活動報告

障害者自立応援委員会「人が輝くから企業も輝く」(8月20日)

橋本 昌博氏  (株)国分農園

鉢植えをするI君

大きな一歩

8月の障害者自立応援委員会では国分農園代表取締役の橋本昌博氏に報告いただきました。

同社は民家や店舗の庭木、街路樹などを栽培し施工、メンテナンスを行っています。仕事は種まき、苗の成長に合わせた鉢植え、運搬、植付けへと次第に重労働になり、命の危険にさらされる環境下で働くこともあります。そのため業界では、「体力のある男性」が採用の基準でした。

橋本氏も同じ考えで、ハローワークから障害のあるI君を紹介された時、一旦は断ろうとします。しかし、日ごろ「人を生かす経営」を口にしながら断るのなら、同友会にいる意味はないと思い直し、実習を受け入れました。

仕事は草取りから始めました。草取りは地味で腰も痛めやすく、皆が敬遠する仕事ですが、I君は「がんばるぞ」と意気揚々と臨んでいました。その姿を見て、橋本氏は本気で考えなければと思い始めます。雑草の見極めから一連の作業のポイントを細かく書いて渡すと、I君はどんどん吸収し、これならできると採用を決めました。自社や業界にとって、経験がない中での大きな一歩でした。

彼だからこその仕事

身長が120センチのI君は、手足が短いためにできないことがあります。しかし、そこを活かして力を発揮する仕事があります。地面から高さ20センチの雑草を取る、10~20センチの苗木を植えるのは、彼だからこその仕事になりました。可動域が小さい分は、自分で工夫して仕事の幅を広げています。

I君が入社したおかげで、手付かずだった社内の整備が進み、指示が正確になり、援け合う一体感が出てきたといいます。採用前、社員からは不安や疑問の声が出されました。橋本氏は自分が責任を持つと約束し、今年で2年になります。時には、I君のミスが障害のせいにされる場面もありますが、その都度「経営はトータルで見るもの」と説明しています。

橋本氏は「Iがまいた種が5年後に樹木として商品化する。その時、彼の働きを数字上でも認めてもらえるだろう。それまでは私がしっかりと関わっていく」と抱負を述べ、締めくくりました。