それぞれの立場で可能性への挑戦
はじめの一歩
同友会の本当の面白さは、経営者が学び、社員と共に会社で実践し、これを日々継続するなかで課題を改善し、また学ぶことだと理解しています。
2年前に同業の中西(豊明地区)を見学し、障害者と共に働ける環境をつくり、社員の自立を目指す実践を目の当たりにしました。同社の笠原尚志社長に雇用を勧められ、地域の障害者支援機関から派遣の形で3名を江南工場で受け入れました。しかし、直接雇用したい自社と派遣で就労させたい支援機関、その考え方の違いから受け入れは1年で打ち切りとなりました。
障害者雇用について社内で協議すると、社員から「自社で雇用して、直接仕事を教えた方がよい」「SDGsにも該当するので、雇用の時期や目標雇用人数を設定しよう」等の意見が出ました。そこで、まずは障害者と直接触れ合う愛知同友会のバリアフリー交流会に参加しました。
経営者の務めとは
バリアフリー交流会では仕事体験ブースに出展し、発泡スチロールと発泡トレイの分別作業を体験してもらいました。他のブースを見ると、障害のある参加者が仕事に興味を持てるよう、明るく優しく説明し、接していました。
自社のブースには、軽度の知的障害の方が多く集まってくれました。私も参加者も最初は緊張していましたが、徐々に慣れ、笑顔で体験してもらうことができました。
同友会の仲間たちが出展する模擬店では、会員企業の社員I君が活躍していました。彼は2年前に地元の特別支援学校を卒業し、新卒採用で同社に入社しました。手足が短く身長は120センチほどですが、笑顔で楽しそうに皆と一緒にフランクフルトを焼いている姿に感動しました。
健常者と障害者の違いを云々いうのではなく、互いが人として生きがいのある人生を送るには「助け合い、思いやる」ことが大切です。誰もが働ける環境づくりは、我々経営者の務めなのだと改めて理解しました。自社でも障害者の雇用に向け、職場の環境改善を一歩一歩進めていきます。
(株)愛北リサイクル 倉地 一秋