人間尊重の経営とビジネスと人権の結合
渡辺 俊三氏 名城大学・名誉教授
加藤 昌之氏 (株)加藤設計

建築士の視点から、世界の省エネ技術の趨勢を報告する加藤氏
愛知同友会の外郭団体「愛知県中小企業研究財団」の24回目の周年の集い(以下、集い)が、25名の参加で開催されました。
今回の集いは、来月開催される中同協第49回定時総会の第11分科会「グローバル化と中小企業憲章推進運動」の事前学習会、ならびに、現在全国的に取り組みを進めているエネルギーシフトを愛知でも推進するために、エネルギーシフト先進国であるオーストリア・ヴェルス省エネ技術見本市等の視察報告の、2部構成で進められました。
憲章のアジア展開
第1部「グローバル化と中小企業憲章推進運動」では、渡辺俊三氏(名城大学名誉教授)より「中小企業憲章を東アジア諸国に展開するために~人間尊重の経営とビジネスと人権の結合を求めて」と題した講演が行われました。
渡辺氏からは、同友会が取り組んでいる中小企業憲章の推進運動((1)国会決議、(2)中小企業担当大臣の設置、(3)中小企業庁の省への昇格など)を実現する道筋として、2011年に国連人権理事会で承認された「ビジネスと人権に関する指導原則」を活かすことの可能性と今後克服すべき課題、中小企業各社での取り組む方向が明らかにされました。
エネルギーシフトの担い手
第2部のエネルギーシフトの推進では、加藤昌之氏(加藤設計)が、オーストリア視察に参加して掴んだ最新事情を報告。日本と欧州での「木」に関する認識の異なりが、現在の技術格差の要因となっていること、建築物の木造化に進む世界から見て、日本は後塵を拝している実態が指摘され、10年後の愛知県経済を展望する上で貴重な提起となりました。
愛知同友会では中小企業の課題研究を行う会員有志の集まり「愛知県中小企業研究財団」を1993年に発足。EU視察による中小企業憲章の必要性の発信など、同友会運動に関わる中長期課題の検討に取り組んできました。とりわけこの間は、「中小企業憲章の国際展開」「10年後の愛知県の課題」の研究グループを設け、研究者の協力のもと、中小企業家自身が自らの手で研究に取り組んでいます。